2008年に起きたリーマン・ブラザーズの経営破綻(いわゆるリーマンショック)をはじめ、世界中を巻き込んだ経済崩壊の真実に肉迫する!金融業界を代表するインサイダー、政治家、大学教授、ジャーナリストなどキーパーソンとなる人物へのインタビューや徹底的なリサーチ、データ収集によってあらゆる観点からメスを入れた本格的な経済ドキュメンタリー作品。
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サブプライムローンによる住宅バブル、リーマンショックとその後の不況。
その裏側を当事者にインタビューを行ったドキュメンタリー作品。
ジョン・ローの時代から金融バブルは操る側の欲望に始まり、無軌道な価値の創造が加速することで虚構が主体のバブルを生みだす。
やがて中身のないバブルは実態に追いつかれはじけ飛ぶ。
資金は流出し、負債が増え、不況の波が襲う。
マネーの津波は貧困層を襲い、マネーを持つ富裕層は安全圏へ生きのび、再びバブルを作ろうと画策する。
泣くのは弱いものばかり。
甘い蜜を吸ってる世界の人間は人脈で繋がり、空位の座にまた見知った誰かが座る。
バブルの責任を誰も取ることなく、貧困層は家や職を失う。
金融業界は喉元過ぎれば熱さを忘れ莫大なボーナスや退職金をもらう。
格差は埋まらない。
その嘆きが生み出したオバマ政権も肩透かしの金融改革しか行えなかった。
もうアメリカ経済界が牛耳る政治に民衆は絶望し飽き飽きしている。
この映画は2010年の映画だけれど、そこに記録されている世界は現在に繋がる。
だからこそ過激な発言をするドナルド・トランプや、「ウォール街から取り立てろ!」と叫んでいるバーニー・サンダースが民衆から支持を受ける。
経済界が自分たちの利益だけを考え、政治を動かす今のアメリカに絶望しているからこそ
「(旧態然としたヒラリー)クリントン以外なら誰だっていい」
が本音だろう。
ちなみにリーマンショック以降の欧州を舞台にした金融危機に関しては、マイケル・ルイス「ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる」に詳しい(オススメ)。
映画の冒頭で少しだけ触れる。
文藝春秋 (2014-09-02)
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ただし住宅バブルの一因となった金融緩和を行った元FRBアラン・グリーンスパンやベン・S・バーナンキはインタビューを断り、出演していない(そりゃあそうだ)。
大統領選前だからこそ一度観ておく価値のある作品。
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