一方、違憲の意見を示した裁判官は、買春側を処罰すべきという多数意見(裁判官6人)には同意するとしながらも、「性を売る人はそうするしかない差し迫った生存問題があるため、刑事処罰条項は市場の地下化を招き、むしろ売買春の根絶の障害になる」との認識を示した。
別の裁判官は「売買春はそれ自体で社会的に有害だったり、他人に被害を与えたりするものではない。性売買特別法の条項は売買春の根絶に全く寄与しておらず、人間の本性に照らしてみて、売買春の根絶は実現不可能だ」と断じた。
女性団体は憲法裁による今回の判断を歓迎した。韓国女性弁護士会は声明で、「売買春は代価を授受するため、保護されるべき私生活とは見なせない。売買春の社会的な危険性からみて、職業の自由として保護すべき対象とも見なせない」と指摘した。しかし、法曹界には「国家が保護すべき社会的弱者である売春女性を刑事処罰するのは不適切だ」とする反論も存在する。
売買春に対する判断は国ごとに異なる。米国はネバダ州を除く大半の州で売買春が禁止されているが、実際には取り締まりや処罰を行わない州が多い。欧州では大半の国が女性の自発的な売春を合法としている。日本は売買春は違法だが、業者ではない売春女性は処罰されない。中国と台湾でも違法だ。