下町の商店街を鼻歌まじりに闊歩する瀬山カツ(倍賞美津子)は、お年寄り仲間からも煙たがられる毒舌おばあちゃん。
パートをしている銭湯でも、ことあるごとにシングルマザーでキャリアウーマンの娘・幸恵(小林聡美)や、自称・バンドマンの孫・翼(北村匠海)の自慢話を繰り返すカツに、みんな内心うんざり。だが若かりし頃からカツに恋心を抱き続ける中田次郎(志賀廣太郎)だけは、いつもカツの一番の味方。
次郎に思いを寄せる相原みどり(金井克子)はそれが面白くなく、カツとつかみ合いの大喧嘩になることもしばしばだ。
しかしその自慢の娘・幸恵との仲も最近はぎくしゃく。女手一つで娘を育て、何かと恩着せがましい物言いをするカツに、ある日とうとう幸恵が爆発。喧嘩となり、思わずカツは家を飛び出してしまう。
そのままトボトボ夜道を歩いていると、見たこともない小さな写真館を発見。ウィンドウに飾られていたのは、大好きなオードリー・ヘップバーンの写真。何かに吸い寄せられるように写真館に入っていくカツは、店主(温水洋一)に言われるがまま、カメラの前へ。「私がこのカメラでお姫様にしてあげますよ」そう微笑んで、店主はシャッターを切った…。
写真館を出たカツはバイクのミラーに映る自分を見て驚愕する…。そこには20歳に若返った自分(多部未華子)の姿があった。
“これは好きに生きてこられなかった自分へ神様がくれたチャンス!”とばかりに、意気揚々と「やりたいこと」へ一直線…。だが、いざとなると「やりたいこと」が全く思いつかないカツの足は、いつもの銭湯へ向かう。
次郎や次郎の娘・麻衣子(三鴨絵里子)と会ったカツは名前を尋ねられ、あこがれの「オードリー・ヘップバーン」と「原節子」から、「大鳥節子」と勢いで答え、この日から節子として生きることに。
次郎宅に居候することになった節子は、商店街の“のど自慢大会”に出かける。飛び入り参加で「見上げてごらん夜の星を」を熱唱。その透き通った優しい歌声は、会場にいた次郎たち、孫の翼、そして音楽プロデューサーの小林拓人(要潤)を一斉に魅了してしまう。
節子の声に惚れこんだ翼は、自身のバンド“怪しい彼女”のボーカルに節子を誘う。ちょうどボーカルのアンナ(越野アンナ)がバンドを辞めてしまった矢先での出会いに、翼は興奮気味。かわいい孫のためにと、ひと肌脱ぐことを決意した節子は、それまで翼たちがやっていた音楽を騒音だと言い切り、十八番の「真赤な太陽」を生き生きと歌い上げる。
一方、のど自慢大会以来、節子の声に運命を感じた小林は、節子を発見し密かに後をつけるも、再び節子を見失ってしまう。
母の失踪以来、捜索を続ける幸恵は、少しずつカツの過去を知ってゆく。
一方、カツの身を案じる次郎は、彼女の失踪と時期を同じくして突然現れた節子を疑い追い詰めるが、逆に節子に拘束&監禁されてしまう始末…。だがようやくそこで、節子=カツという事実に気付くのだった。
小林は、ネットの動画で“怪しい彼女”として歌う節子の姿を発見。節子たちを呼び出し、大人気音楽番組への出演を打診。そこで披露した「悲しくてやりきれない」が多くの人の心にしみわたり、“怪しい彼女”は一気に知名度を上げ、ついには人気ロックフェスへの特別出演が舞い込むほどに!
バンド活動が軌道に乗る中、節子と小林との距離が急速に近づいていく。亡き夫以来の恋心に、戸惑いながらも胸の高鳴りが止められない節子。そんな節子を見て、複雑な思いの翼、次郎…。それぞれの想いが交錯する中、迎えたロックフェス当日、事件は起こる。その時、節子がとった意外な行動は――?