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 進歩的な論調で知られる中国広東省の新聞「南方都市報」のベテラン編集者が、メディア統制を強める共産党に抗議して辞職したことが分かった。香港紙などが伝えた。

 辞職したのは、2000年から同紙の記者やコラムニストとして活躍し、文化部で編集者をしていた余少鐳氏。退職理由に「あなたたち(共産党)の姓は名乗れない」とだけ書いた辞職届を29日にネット上に公開。自身のブログに「長い間ひざまずいてきたが、ひざが耐えられなくなった」などと書き込んだ。

 書き込みはすでに削除されたが、ネット上で拡散。習近平(シーチンピン)国家主席が2月に国営メディアを視察した際、「メディアは共産党の姓を名乗るべきだ(党を代弁すべきだ)」と発言し、党への忠誠を求めたことへの抗議と受け止められている。

 同紙は、習氏の視察の翌日、習氏のこの発言の真下に「魂帰大海(魂が海に帰る)」と一部の地域で見出しをつけた。報道の自由がなくなることを暗に批判したと騒ぎになり、担当編集者が解雇された。(広州=延与光貞)