「習近平主席は2月19日、中国中央テレビ(CCTV)、国営新華社通信、党中央機関紙『人民日報』の3大メディア本社を回り、『メディアは軍と並ぶ党を守る両剣だ』と説いて回ったのです。
この言葉に、記者たちはいきり立っていますが、メディア業界にも粛清の嵐が吹き荒れていて、批判記事を出せば即刻逮捕されます。少し前に『人民日報』が、『PM2・5(大気汚染)が深刻化して分かったのは、われわれ庶民も習近平主席も同じ空気を吸う最高の平等社会が到来したことだ』と書きました。
こんな意見が『公式見解』と化しているのです。いまでは記者たちは、中国のことを自虐的に『西朝鮮』と呼んでいるほどです」(前出・李氏)
2月28日、「中国のトランプ」というニックネームの不動産王・任志強氏のブログが、「違法情報を流した」として閉鎖された。任氏は歯に衣着せぬ発言で知られ、ブログのフォロアーは3700万人(!)と、ケタ違いの人気を誇っていた。
同日夜、〈人民政府は一体いつから党政府になり変わったのだ?〉〈メディアが党に服従し、人民の利益を代表しないのなら、人民は捨て去られ遺棄されるだろう(悲)〉と書いたところで、当局の手入れが入ったのだった。
3月7日、中央銀行にあたる中国人民銀行は、中国の2月の外貨準備が3・2兆ドルで、前月よりも285・72億ドル減ったと発表した。昨年11月から今年1月にかけて、毎月平均1000億ドル近く減っていたのに較べればマシだが、それでも減少が止まらなかったことで、市場はショックを受けた。
そんな中、人民代表大会で3月7日、注目された楼継偉財政部長(財務相)の記者会見が行われ、内外の記者数百人が集結した。
記者「今年の政府債務予定額は17兆1800万元(約300兆円)にも上り、これは昨年末時点の政府債務16兆元よりかなり多い。こんなに借金を増やして、そのリスクをどう考えているのか?」
楼部長「赤字が拡大すれば国債を発行するのは国際常識ではないか。経済が回復して赤字が減れば、国債の発行も減らしていくだけのことだ。中国の財政収入はGDPの約3割で、政府債務はGDPの約4割だ。いずれも他国に較べて、健全財政を保っている」
元経産省北東アジア課長で、中国経済の専門家である津上俊哉氏が解説する。
「中国の財務省にあたる財政部の大臣の発言とは思えないような内容です。普通なら、『財政赤字は増やせない』と発言するのが財政部長のはずだからです。
国民の不満増大に怯える中国は、景気の下支えを手厚く行いたいが、その余地は限られている。しかも下支えを行えば行うほど、過剰債務解消や景気の底打ちが先に延びてしまうのです」
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