原油安で財政危機 イラクに円借款を供与へ

過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いが続くなか、長引く原油安で、財政危機が深刻化しているイラクを支援するため、日本政府が250億円の円借款を供与することになり、首都バグダッドで署名式が行われました。
世界有数の産油国イラクは、石油の輸出による収入が国の財政の90%以上を占めていて、原油価格の低迷が長期化するなかで財政危機が深刻化しています。こうしたなか、日本政府は、イラクの財政状況の改善を支援するため、総額250億円の円借款を供与することにしたもので、31日行われた署名式で、イラク駐在の岩井文男大使とゼバリ財務相が交換文書に調印しました。
イラクでは、原油安に伴う財政危機のため、インフラ整備などの復興プロジェクトが相次いで中断しているほか、一般の公務員だけでなく軍の兵士の給与も未払いとなるなど、過激派組織ISに対する軍事作戦への影響も懸念されています。
今回の円借款は、イラク政府が、国有企業の民営化など財政改革をすすめるうえでの資金に活用されるということで、ゼバリ財務相は「日本がイラクの厳しい状況を理解し支援してくれることに深く感謝したい」と述べました。
また岩井大使はNHKに対し、「イラクはISと戦っているなかで原油価格の低迷に直面しているが、財政危機を放置すれば、イラクの安定を損なうものとなってしまうので、日本としても財政改革を後押ししていきたい」と述べました。