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アングル:15年度は日経平均2448円安、アベノミクス相場初の下落

ロイター 3月31日(木)18時16分配信

[東京 31日 ロイター] - 2015年度の日経平均<.N225>は前年度末比で2448円32銭安となり、いわゆるアベノミクス相場で初の下落となった。年度ベースで下落となるのは2010年度以来、5年ぶり。

6月に18年ぶり高値を付けたが、夏場以降は中国ショック、原油安を背景にした世界的なリスク回避などで失速。昨年後半からは円高も進行し、海外勢の売りが強まった。

<下げ幅はリーマンショック以来>

15年度はまずドル高/円安が進行。6月5日に1ドル125.85円まで上昇した円安基調を追い風に日経平均は同月24日に2万0952円71銭と、1996年12月以来、18年半ぶりの高値を付けた。

だが、夏場以降に相場のムードが一変。8月11日に中国人民銀行(中央銀行)が人民元を事実上切り下げたことを機に、中国景気減速への懸念が台頭。日経平均は同月25日までの約2週間で3000円超の大幅な下落となったほか、125円近辺にあったドル/円<JPY=EBS>も一時116円台まで急落した。

12月にかけて日本株、ドル/円ともにいったん持ち直しの動きがみられたが、今年に入り、再び円高・株安が進行。日銀によるマイナス金利導入も打開策にはならず、世界的なリバウンド相場の流れに乗れないでいる。

15年度の日経平均の下落幅は、リーマン・ショックの08年度(4416円01銭安)以来の大きさとなった。売買主体別では、外国人投資家が現物・先物の合計で10兆円に迫る売り越しとなったことが大きい。

ドル/円はきょうの午後3時時点で112円前半。昨年度末は120円前半であり、1年間で約8円の円高となった。ドル/円が前年度末の終値との比較で円高となったのは、これもアベノミクス相場初で、11年度以来となる。

<内需株好調・外需株軟調>

年度後半の円高基調を背景に、業種では内需株が好調だった。東証33業種のうち、上昇率トップとなったのは水産・農林<.IFISH.T>の29.6%高。建設<.ICNST.T>の9.5%高、食料品<.IFOOD.T>の6.1%高がこれに続く。下落率では海運業<.ISHIP.T>の38.3%安が最大。自動車・電機など外需関連は総じてさえない。

個別株では、TOPIX500構成銘柄の上昇率で雪印メグミルク<2270.T>がトップとなった。コーセー<4922.T>などインバウンド関連も上位にランクインした。

雪印メグの16年3月期純利益は前年比約3.7倍の145億円と、過去最高益となる見通し。「利益率の高い製品が売れたことに加え、製品価格の値上げ後も物量が落ちることがなかった」(広報部)という。

下落率首位は半導体ウエハーを手掛けるSUMCO<3436.T>。ミネベア<6479.T>など米アップル<AAPL.O>関連や、不正会計問題に揺れた東芝<6502.T>の下げも目立つ。

SUMCOはスマートフォンなどに使われる半導体ウエハー需要の懸念が重しとなった。15年12月期は増益を確保したものの、株価の面では「供給過剰感があるなかで、長期契約などで安定供給先を確保している競合他社との格差が広がっている」(藍沢証券・投資顧問室ファンドマネージャーの三井郁男氏)との見方もある。

日本株全体では円高による来期企業業績への懸念が強まっている。日本アジア証券エクイティ・ストラテジストの清水三津雄氏は「景気対策が打ち出され参院選に突入する展開が見込まれるが、それ以降は日本株はもたつく形となり、夏場がピークとなる可能性がある」との見方を示している。

(長田善行 編集:伊賀大記)

最終更新:3月31日(木)18時16分

ロイター

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