2016.03.31 18:45
SENSORSではこれまでにも雑誌、漫画、そしてWebを「編集」するプロフェッショナルたちに話を伺ってきた。「編集」といえば活字とセットで想起されることが多いが、「編み、集める」営為はそれだけに限定されないはず。今回は「編集」という言葉が注目される以前から、概念を拡張し、カルチャーやクリエイティブを基点にあらゆるものを編集してきた東京ピストル 代表・草彅洋平氏に話を伺う。
メディア環境が目まぐるしく変わっていく中で、改めて注目を浴び、再定義を求められている「編集」。SENSORSでもこれまでに紙メディア出身ではコルク・佐渡島庸平氏、『進撃の巨人』担当編集・川窪慎太郎氏、Web出身では塩谷舞氏や佐藤慶一氏らに編集論を伺ってきた。
今回話を伺った東京ピストル 代表・草彅洋平氏は紙やWebといったいわゆる"編集"も行いつつ、グラノーラ専門店「GANORI」やコーヒーやビールを片手に文学を愉しむことができる日本近代文学館にある文学カフェ「BUNDAN」など空間にまで編集を拡張する。
最近ではOKAMOTO'Sのアルバム『OPERA』の世界観にインスパイアされた同名の小説を執筆したことでも話題。
クリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモト氏はポストAI以降、人間に求められる力について以前このように語った。再現性の高い単純作業は機械に代替される(2から9)一方で、"0から1を生み出す力"や"9を10に磨き上げる力"の両極は今後も人工知能よりも人間の武器になるのではないか。
これを聞いたときに私の頭に浮かび上がったのが「編集者」という職業だった。草彅氏のこれまでの仕事は「編集」を武器に0→1、9→10を自由に体現してきたのではないか?と感じ、お話を聞かせていただくことにした。
草彅さんが編集者としてのキャリアをスタートさせた頃の話の端々には時代性が溢れていて、情景がヴィヴィッドに目の前に現出するようだった。 今回の記事は"導入編"。近日お伝えする続編の記事で、現在やこれからのお仕事、そしてかねてより提唱しているおしぼりメディア化計画「OSHIBO」の詳細について深掘っていく。
SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。『PLANETS』では構成を行う。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh