いろいろな方と関わっていく中で、最近特に強く懸念していることがあります。
それは、「自分の考えていることをきちんと表現できる人の割合が非常に少ない」ということです。
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・・・偉そうに言ってはいますが、実は私も自分の意見を持ったり、それを明確に表現することはまだまだ苦手です。
とはいえ、ここ数年だいぶ改善されてきた実感があります。
英語でいきなり"Could you please give me your opinion?"といわれても、即座に意見を述べ、ある程度強力な理由を複数上げてサポートすることができます。
また、このブログやほかの媒体で、比較的短時間で記事を生産できるようになったのも、一つの成長の証といえるかもしれません。
もちろん普段のコンサルティングワークにより鍛えられている面もあるのですが、このようなことができるようになってきた理由の一つとして、下記書籍をあげさせてください。
大学生だろうが社会人だろうが、「もっと頭がよくなりたい、深く速く考えられるようになりたい!!!」と強く思っている人は必読です。
どんな人が書いているの?
著者の赤羽さんは、マッキンゼーの元パートナー。
実際にお会いしたことも何回かありますが、非常にエネルギッシュかつロジカルな人でした。
圧倒的な仕事量をこなしながら、寄稿や執筆の速度も非常に速く、いつも尊敬のまなざしで見ている人です。
プロフィールは下記。
東京大学工学部を1978年3月に卒業後、小松製作所で建設現場用の超大型ダンプトラックの設計・開発に携わる。企業派遣で1983年から1985年までスタンフォード大学 大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程(MS、Degree of Engineer)を修了。帰国後、超大型ダンプの分野では世界初のセミアクティブ・サスペンションを開発し、実車試験を進めた。
1986年、世界的コンサルティング会社マッキンゼーに入社し、経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードし、クライアント企業の大規模な経営革新を支援。当初日本企業へのコンサルティングを主としたが、1990年から10年半にわたってフルタイムで韓国企業、特に財閥の経営指導に携わるとともに、マッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となった。インドネシア・中国など、アジア各国の企業へのアドバイスも多数。
この方の処女作となるのが、「ゼロ秒思考」です。
メッセージは非常にシンプル、さらに実際にやらなければならないこともひとつだけ、しかも効果はバツグンという稀に見る良書です。
具体的に中身を見ていきましょう。
本来はみなとても頭がいい!!なのに・・・
赤羽さんの問題意識はとても明快。
「人は本来とても頭がいい。大体のことについて深く考え、それを明確に表現できるはず。しかし、考える訓練が学校でなされていなかったり、会社で無用なプレッシャーをかけられ続けるようになっていることが原因で、ほとんどの人が"深く考える"ということができていない。」というもの。
具体的に記載を見てみましょう。
そもそも、大半の人は、どうすれば「深く考える」ことができるのかがよくわかっていない。
「もっとよく考えてください」 「この考えは浅いね」などと言われ、深く考えることを要求されていることはわかる。深く考えられると、なんだか素晴らしいことができそうな気もするが、みなその具体的な方法論を知らない。こうかな、と思ってもあまり自信がない。
思い起こしてみれば、日本では小学校の時から、考える訓練、効果的に考えをまとめる訓練がほとんどなされていない。
(中略)
私は、普通に会話をしたり、本を読んだり、インターネットを利用できるような人は、本来的にみな頭がよいと考えている。ストレスやプレッシャーに弱い人はいるが、誰でも自分の意見を持っており、安心できる環境であれば発言できる。適切な判断力も持っている。確かに考えの浅い、不快はあるが、これもやり取りする中で改善していく。年齢、学歴、性別、経験などによる差はほとんどない。
ところが、驚くほど多くの人が自分に自信を持てず、せっかくの能力が宝の持ち腐れとなっている。
これはあまりにももったいない。心の整理をし、考えをまとめ、深める方法があったら、誰でも別人のように成長できる。仕事ができるようになる。コミュニケーションの悩みも減り、不必要な苦しみから少なからず解放されて生きていくことができる。
仕事とか勉強だとからっきしだけど、趣味の世界となると途端に生き生きとして結果を出す人、よくいますよね。
逆に、好きなことについても自分の考えを全く説明できない・・・なんて人はほとんどいないはず。
つまり、ある程度興味を持ってちゃんと考えるプロセスを踏めば、どんなことでも人は深く考え、それを説明することができると赤羽さんは言います。
そのように物事を適切に考え続け、思考と質を最大限に高めることで到達できるのが、「瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できる」という状態。
その状態こそが、本の題名にもなっている「ゼロ秒思考」です。
「ゼロ秒思考」って具体的にどういう状態?
「物事を考え続け、その質とスピードを徹底的に高めた状態が"ゼロ秒思考"である」と説明しましたが、実際にゼロ秒思考を身に着けた人は、どのような思考になるのでしょうか。
ちょっと本文から引用しますね。
普段から企画や事業について考え抜いている人が突然の変化にすぐ対応できるのは、「ゼロ秒思考」が身についているからだとも言える。自然と先が読めてしまう。はっきりとではなくとも、だいたいの方向性が瞬時に見えるようになる。情報収集を延々として判断を先延ばしにしたり、不安に駆られて部下を叱り飛ばしたり右往左往するのとは正反対だ。
リンゴが落ちるのを見て閃いたというニュートンの逸話も(本当かどうかはともかくとして)、まさにこれだ。普段から考え抜いていた課題に対して、瞬時に閃きが生まれる。
大リーグのイチロー選手は、バッティングだけではなく素晴らしい守備でも有名だが、バッターが打った瞬間に、ピッチャーの投げたボールのコース、打球音、打球の方向、風向き・風速などのすべての情報をもとに、どの方向に走り出すか判断しているはずだ。0.5秒考えていたら、ライナーを地面すれすれでダイビングキャッチすることはできない。
普段から物事を考え抜く癖がついていると、あるときふっと解決策が浮かぶようになります。そうすると、意思決定や情報収集のスピード、正確性ともにどんどん上がっていき、時間当たりの生産量がけた違いになっていく感覚を得られます。
いいことずくめですが、大事なのは「じゃあそれってどうすれば身に着けられるのよ」というところです。
そこについて、赤羽さんは「A4メモ」というシンプルかつ超強力なツールをぼくたちに与えてくれます。
一瞬で自分の思考を深めるためのもっとも簡単なやり方
前述したゼロ秒思考を身に着けるためのトレーニングとして、赤羽さんは「メモ書きをしなさい」と何度も何度も強調しています。
「メモ書き」は、こわばった頭をほぐす格好の柔軟体操であり、頭を鍛える手軽な練習方法だ。頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留める、頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理されるようになる。自意識にとらわれ悩むことがなくなっていく。「メモ書き」により、誰でも、この境地にかなり早く到達できる。自分でも驚くほど頭の回転が速くなる。
ぼくはゼロ秒思考の発売直後から今まで2年ほど、メモ書きをほぼ毎日続けています。それにより、だいぶ頭の回転が速くなり、決断力もつき、仕事での結果も出しやすくなりました。
思考術系の本は読んで終わりにしてしまう人が多いと思いますが、メモ書きはぜひ実践してみてください。簡単ですし。
具体的なやり方は下記になります。
具体的には、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4-6行、各行20字-30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを書く。(下記参照)
メモ書きは非常にシンプルであり、無駄な思考リソースを使わずにトレーニングすることができる、とてもいいやり方です。
「頭がよくなりたい、ちゃんと物事を考えるようになりたい」という方がいらっしゃったら、ぜひ試してみてください。世界が違って見えてくるはずです。
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