どもども、かずかずです。
僕は昨年4月に入社した、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下IBM)を今年の1月末に退職しました。
自分のやりたいことの実現に向かって就活しているつもりが、あれよあれよと逸れていきました。気付いたら「これでいいんだ、これでいいんだ」と一生懸命現状を肯定しようとしていた自分がいました。そして僕は時間を、会社はお金を無駄にしました。
これは、全体で変な方向に向かってる就活市場を経験しながら、大企業とか世間体とかのを気にして、どんどん夢から遠ざかっていた僕の忘備録です。
くっそ長いので、トイレでうんこがなかなか出ない時とかに読んでください~!
僕の生い立ち
僕は小さいころから社会が何を要求にしているかに繊細でした。5歳の頃に自分がゲイだと気付いてから、傷付くの恐れた僕は、つい最近までずっと、社会が許してくれそうな範囲で生きてきました。(詳しくはこちらの記事で)
自分が周囲と同じでないことに加え、両親がめちゃくちゃ俗っぽい価値観の持ち主でした。良い学校、良い成績、良い会社、お嫁さん、子ども、マイホーム、孫、というこなすべき人生のステップが刷り込まれてて、ゲイなので4つ目でつまづく確定なのですが、そこには目をつぶってゴールに向かって前進してった感のある人生初期でした。
留学~就活
転機が訪れたのは留学で、僕は大学1~2年で卒業に必要な単位がほぼ取れて、このままでもつまらんなぁと思ったので2年が終わると同時に休学してロサンゼルスに留学しました。
そして、現地の大学のサークルで初カレピができました。生まれてからの20年間ゲイの友達すら一人もいなかったのに、ロサンゼルスについたら4ヶ月で彼氏出来ました。ロサンゼルスパワー、バンザイ。
ロサンゼルスの大学で、昔から興味はあったんだけど手を出さなかった芸術の授業をメインに取りました。そしてアニメーション領域がめちゃくちゃ楽しかったんですよ。
その頃に『タマゴ戦争』というアニメーション映画の構想が出来はじめました。これはタマゴがタマゴ民権を確立し、人間界から独立して、やがてタマゴを食べたい人間とタマゴが戦争をするという壮絶な物語です。
このままアニメーション続けるっしょ! と思ってた矢先に、リンリン♪ タイム is アップです。この頃既に休学期間はオーバーしており、もうすぐ就活が始まる頃でした。日本に帰って就活をするというのは当たり前のものとして僕の頭に刷り込まれていましたので、帰国しました。
就活
そして就活を始めます。当初の目的はこうでした。
アニメーション映画『タマゴ戦争』を2023年までに(着想からちょうど10年)に作るぞ。そのために仲間探しだ! 仲間を見つけられるような会社に入るぞ!
おぉ~、こう言ってみるとルフィーみたいで夢がありますね。これから夢から遠ざかってゆくとも知らずに。くっくっく
ということで、僕は経営学士から、クリエイティブな人と近付けるポジションに身を置ける仕事を探すことにしました。
それに加え、日本式就活自己分析をした結果、なぜか自分はSEに向いているんじゃないかという結論に至ります。How 意味不明 this is. お前アニメーション映画作りたいんじゃなかったのかよって思いますよね。でも今までの人生をぶった切ってゼロベースで仕事探すのが日本の就活の特徴です。
ということで、僕の就活の二つの軸が決まりました。
クリエイティブ+ITです。
就活初期(ベンチャー就活)
まず思いついたのがソシャゲの会社です。ソシャゲの制作は、3Dアニメーションソフトを使うので、そういう会社に潜り込んで、デザイナーと仲良くなって、一緒にアニメーションスタジオを作ろうと思いました。
この考え自体はそんなに悪くないと思うのですが、そもそもソシャゲに一切興味のない、むしろあんまり好きじゃない僕がソシャゲの会社を受けるのもおかしな話です。大声では言えませんが、電車の中でみんな揃ってパズル消してるのは見ててゾッとします。
なのでデザイナー職を中心に受けてたんですが、美大や専門学校で4年間アートをやってる人たちに、先日始めましたの僕が太刀打ちできるはずもなく、ごっそり落ちます。
そしてだんだんデザイナーから企画職に、ついでにプログラマー職にと、いろいろクリエイティブそうなベンチャーの面接をうろうろしてたんですが全く受かりませんでした。
ココらへんで、総合職の就活(新卒でさえあれば経験無しでOKの日本式就活)は専門職では通用しないと思い知らされます。これに関しては、これぞ採用のあるべき姿とは思うんですが、なんだかこの20数年で美大の人たちと取り戻せない差が出来てしまったなと、僕は人生巻き戻したい気持ちでいっぱいになりました。
そうこうしているうちにイケイケクリエイティブベンチャーの面接期が終わっていき、とうとう経団連の面接解禁の4月がやってきました。
大企業就活
さあ、日本のザ・就活が解禁しました! ベンチャー就活中もリクナビはひたすら僕にエントリーをせがんでくるので、うるせえ~~と思いながらポチポチといっぱいエントリーしました。
この頃から僕は、「とりあえずどこかに内定をもらって、タマゴ戦争に関しては終わってから考えよう」という夢諦めモードに入っていました。
イケイケベンチャーがダメで、次に狙うのは(当然)大企業でした。見事に大企業病に陥った僕は今までの人生に全く関係の無い会社にエントリーしまくります。
例えばテレビ持ってないのにNHKにES送りました。2日徹夜して出来上がったESを見返したらゴミみたいな文章で笑えました。そんなゴミを速達で送りつけました。不毛すぎる。
そして大企業の面接第一期が終わる頃にIBMから内定がでました。
ここから自分への暗示をかけ続ける期間が始まります。
「良かったんだ」と自分に言い聞かせたる日々
就活が終わると、夢から離れているとは気づきつつも、今の自分を正当化するようになりました。
僕の就活が「成功」に終わったことを色んな人が祝福してくれました。そして僕はこの状況をポジティブに捉えようとしました。アニメーション映画から遠のいているとは思いたくありませんでした。
世界のITカンパニー! ひゃっほぃ!
IBMは社内にLGBTグループがある! 先進的!
初任給28万ひゃっほい! 金貯めてとっととアニメーションスタジオ作るべ!
IBMは週休3日制がある。これでSEとアニメーションを両立だ!
経歴がIBM Japanなら海外で何かを始めようとした時も栄えるだろう!
僕はベンチャーの就活で落ちまくって大変だったので、苦労の末手に入れたこの称号が自分の人生に意味のあるものであると信じたくて仕方がありませんでした。「自分がやってきたことは正しかった」と思いたかったのです。
また、出合う内定者の学歴にも若干酔いしれていた感があります。東大早慶一橋の内定者を見て、あぁ、自分もとうとう上澄みコミュニティに入れた・・・と気を良くしていました。といいますのも、僕は小~高までは優等生だったのですが、大学受験では望んでいたレベルに到達せず、肩書に対するコンプレックスを持っていたのです。
夢から離れていることに加え、配属ミス
一番やりたいことはタマゴ戦争ですが、それでも僕はIT業界への興味は強くありました。
その理由の一つが、現代のゲイコミュニティにおけるITテクノロジーの貢献です。多くのゲイが出会いの窓口としてオンラインに大きく依存しており、僕もその中の一人です。
しかし、オンラインで出会えることはメリットだけでなく、色々弊害があるのです。僕は帰国してから、ITによって効率化される人間関係とその弊害について論考をまとめており(SYNODOSに載せてもらっています)、その流れでITで携わりたいと思っていた分野は「ビッグデータの人間関係や人体管理への活用」でした。
就活でもそのことは主張していたのですが、配属されたのはそれとは程遠い部署。でもそこには目をつぶりました。なぜなら大企業バンザイだったから!
入って2日目で辞めたくなった
とうとう入社です(お待たせしました)。しかし入社2日目で辞めたくなりました。それはパソコン配布の日でした。
メール一通読むのに数分かかる
まじか! 世界のIT企業こんな感じか! と思いました。配布されたのはデカくて重いPC、メールはソフトをインストールするやつでした。
そしてそのソフトの遅いのなんの。起動からメールボックスに到着するまでに5分くらいかかるスピード感。休み時間に講師に聞いてみました。
僕:Gmailとかって使わないんですか?
講師:Gmailは使いませんねー。
こんなの嘘だ! Gmail使いたい!!! そしてこの日からGmail使いたいが僕の口癖になりました。
研修のほとんどが茶番
研修は約1年続くのですが、ひたすら時間を浪費している感がやばかったです。というのも、研修が業務内容に全くそぐってないのです。例えば、技術者採用されたのに、技術研修らしきものがJavaプログラミング1週間だけでした。無駄なモチベーションUP系の研修は多いのに!
配属先で、受け皿がない
これが一番問題だと思いました。素人を大量に採用しなくちゃいけない今の就活市場がおかしいのは分かっていても、それにしても採用した後のことがあまり考えられていません。
配属先は教育を研修チームにまかせていて、研修チームは配属先の事業とあまり関係のない教育をします。かといって、配属先の事業は専門度めちゃくちゃ高くて、素人がポンと何かを手伝えるということもありませんでした。
すると放ったらかしになります。しかし、放ったらかしにも関わらず本を使った自習は禁止という謎のルールがあって、暇で死にそうになりました(僕は責任感強めなのでネットサーフィンなんて背徳感から全然はかどりません!)。
好きなことじゃないので全くモチベーション上がらず
そして自由時間は沢山あるのですが精神的につらい日々が続きます。
なんとか配属先の事業に興味を持とうと思っても、どうしても持てず、ただただ虚無感を感じていました。
ただでさえ一番やりたいこと(タマゴ戦争)から離れているのに、IT分野でやりたかったこと現職の断絶、現職と研修内容の断絶と、ニ重に断然があり、今自分がここ(オフィス)に居る理由が全く感じられませんでした。
私生活への影響
9-18でやりたくないことをやってると、どれだけ残業がなかったとしても余暇でを楽しむエネルギーがなくなってきました。
土日もなんだか虚無感を感じていて、通っていた絵画教室もだんだん行かなくなってしまい、とうとう僕の夢は消えてしまいそうでした。
辞めたい。でも辞めたくない
友達に相談しました。
「このままじゃタマゴ戦争はなかったものになってしまう!」
「じゃぁとっとと会社辞めれば?」
「でも¥●*!#□$$〆▽…」
入社してすぐに辞めたいと思っていたのに、なんだかんだ今の立場を捨てることに踏ん切りがつきませんでした。
何となく3年は続けるものだと思っていたし、あとは目先の良い事、たとえば6月のボーナス、夏休み、12月のボーナス、1年働けば失業保険がもらえる、、、などを理由に決断を先に先に伸ばしていました。
そして僕は自分が「好きなことやれないサイクル」に陥っていることに気づきました。好きなことやれないサイクルについてはこちらの記事で詳しく説明しています。時間があったら読んでください。
どうでもいい文句ばっかり増える
どんどん人生のメインじゃないどうでもいいところが気になるようになってきました。幾つか記事にしたものもあるので時間あったら読んでみてみてください。
- 朝の満員エレベーターつらい
- 社食残念
- オフィスの動線計画やばい人とぶつかる
- 数年で辞めるのに高いサラリーマングッズを揃える意味がわからない
- サラリーマン文化・ビジネスマナーが理解できない(隠語・名刺の受け渡し)
- 社名背負ってると課外活動(ブログとか)しにくい
- オフィス内含め、東京の人口密度やばい
- 日光浴びる暇がない。人工光浴び過ぎで死にそう
- ネクタイ巻きたくない
- 近所のスーパー野菜高すぎ
退職へのロンド
とうとう退職を決断します。
上司との面談
そして上司との面談の時に、とうとう打ち明けます。
僕:あの、この仕事に興味が湧きません。
上司:?!!!
僕:…全く湧かないんです…(震え声)
上司:どういうことですか
僕:実はビッグデータとか(その前にアニメーション)やりたかったんです
上司:部署を変えたいということ?
僕:あー…そう思ってたこともあるんですが(もう色々疲れちゃったし…)
上司:困りましたね。そんなんじゃ、先輩に色々教えてもらっても全然身にしみてこないでしょ。
僕:そうなんですよ。困ってます。
上司:…もしかしたら君は、ここに居ちゃいけない人かもしれません。
僕:…!!!
そして一週間後、クリスマス。僕は再度上司+先輩社員との面談を設定し、退職したい旨をつたえました。二重の断絶によって今の状況が自分を全く活かせてないこと、それが僕、IBM双方にとって大きな損失であることをパワポを用いて(さすがサラリーマン)説明しました。
そしてこの際だったので思ってたこと全部いいました。
上司:ちなみに、参考までに、これ以外に退職を考えるきっかけとなったこと、あったら教えてもらえますか?
僕:はい、沢山あるんですけど、まずメールソフトが遅すぎてやばいです。あとオフィスの動線設計があんまり上手くいってないみたいで人とめっちゃぶつかるのもすごいストレスです。あと光が蛍光灯なのもつらいです。あと男女比率と男女トイレの床面の比率も合ってないので常に混んでてストレスフルです。あと、まだあるんですけど…
先輩:(笑)「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」みたいな感じですね。
僕:・・・!!(なんだそのことわざ!聞いたことないけど)多分まさしくそんな感じです!!
先輩:いやいや、「そうです!」って言われても(笑)
上司:…(笑)
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとは
あとで先輩に教えてもらったんですが、坊主を憎いと思うと、その坊さんが着ている袈裟までが憎く思えてくることです。
つまり僕は配属された部署の仕事に興味が持てず、結果オフィスのトイレまで憎く感じてしまったということです。う~ん、言い得て妙!
僕がいた部署の人は、ことわざを会話に織り込む人が多くて国語の勉強になったのは楽しかったです。それどういう意味ですかって聞いたらみんな教えてくれました。おだやかで良い人多かったです。
こんな感じで、辞めるときは結構あっさりでした。
就活~退職で学んだこと
二度としないぞ:他人の価値観を生きる
いや本当に誰か(世間とか)の価値観を生きてると、何やっても文句しか口から出てきません。これじゃいくらお金もらっても幸せたんじゃないと思いました。しかも会社にとってもマイナスでしかない!
おかしい世界(就活市場)には近づかなくてok
日本の大学新卒就活はクソ。畑違いの学生を大量に雇って一から育てるとはどれだけ狂っているのか! 日本全体で足並みそろえて無駄してるとしか思えません。
とまぁ、こんなことは色んな記事を読んで分かっていたことなのですが、「新卒カードは一度しか使えませんよ~」という噂に怯えてまんまと迷宮に足を踏み入れてしまいました。
やっぱり学生時代中に、しっかりやりたいことを突き詰めてやって、それでお金を生み出すサイクルを作れば、新卒フリーランスなり、今まで関わった企業に就職なりして、無駄の無い人生送れるんじゃないかな、と思います。
就活~退職でよかったこと
大企業に入って自分のやりたいことじゃないことをやることで、肩書に対してコンプレックスを抱き、それを満たそうとすることがいかに無意味かを実感しました。
また、ブランドに対する幻想みたいなものが薄れました。どれだけ有名な企業でも、中にいる一人ひとりはフツーの人間。一つのサービスを支えているのは人、人、人、であることを実感しました。
逆に、「手が届かないような存在」と思ってる人のやってることも、一つ一つ分解すれば自分でも出来ることなんだと思います。なので僕はタマゴ映画でアカデミー賞を獲ります!🐤🐣
今後について
ここまで読んでくれた方は、きっとわたくしかずかずや、僕がやろうとしていることに少しは興味を持っていてくれてるんだと信じています。
映画『タマゴ戦争』について
ここまで読んでくださってる方はきっと『タマゴ戦争』に興味を持ってくれていますよね。ではタマゴ戦争の簡単なチラシ貼っときます!
タマゴ戦争のトントン拍子計画は以下のとおりです。
- 2017年春まで短編アニメーション制作 ← 今ここ
- 短編アニメーションの賞を色々取る
- クラウドファンディング
- 制作
- 2023年までに公開 → アカデミー賞受賞
わー! トントン拍子すぎて楽しい!
賞取れたら、タマゴグッヅの販売もしていきたいと思っています!
リュックとか。
まだ、タマゴ戦争が商業的に成り立つのかは不明なので、短編アニメーションで賞を取ってから仲間を募りたいと思っています。
でも、少しでも興味のあるよっていうアーティストの方は、よかったら是非ポートフォリオとかウェブサイトとか送ってください!! きたるときにご連絡差し上げます。 kzkz.ozn@gmail.com
食っていけるの?→食ってけません。なので翻訳家やってます!
とりあえず貯金が尽きるまで、死んだばあちゃんちでアニメーション作ります。これに関してはもうばあちゃんとIBMの初任給の良さにひたすら感謝です(10ヶ月で100万貯まりました)。まだ住民税とか保険料の計算してないのでわからないのですが、とりあえず来春までは制作ニート出来そう。
でもでも! 貯金なくなったら制作もできません!
なので日⇔英翻訳の仕事やってます。もし記事の翻訳など、現在日本語1字10円、英語1wordにつき20円でお受けしますので是非ご用命ください!
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実績 / 経験
米サンタモニカ大学にて授業補佐・ロサンゼルスにて発達障害の学生の家庭教師・IT技術書の翻訳・ITイベントにて逐次通訳・オンライン記事の翻訳、ビジネスメールの翻訳、電話でしか解約できない海外の悪徳ポルノサイト解約、などなど
ちなみに英語力が全く測れないことで有名な某TOEICは935点です!
まだ2記事しかないけどMediumに英語記事載せてますのでお仕事くださる方は参考にしてください~!
最後に
こんな長いのに読んでくれてありがとうございました。アイ・ラヴュ・ユ!
ここまで読んでくれたということは、みなさん少なからず「大企業」とか「肩書」とかそういったものを気にするタイプなのでしょう!
僕はこんな遠回りをして、ようやくそれから開放されました。今高校生とか大学生の人たちには、自分のやりたいことに必要以上の遠回りをせずたどり着いてほしいなぁと思うばかりです。では、僕はこれからアカデミー賞を獲りに行ってきますので、
ほなほなー!
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