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 ヘイトスピーチを抑止する法案を審議している参院法務委員会の委員ら10人が31日、在日コリアンらが多く住む川崎市の桜本地区を視察した。桜本地区は昨年11月や今年1月、在日コリアンに対する差別的な憎悪をあおるヘイトスピーチデモの標的とされた。この日の視察では地元住民らが商店街を案内し、被害の実態について説明した。

 桜本地区で保育園などを運営する社会福祉法人青丘社の裵重度(ペチュンド)理事長は「子どものころ『朝鮮人は帰れ』と言われて育ち、自分の民族を否定したこともある。日本人も在日も共に生きる地域をめざしてきたが、静かな町をヘイトスピーチのデモが襲い、強い憤りと恐怖を感じた」と語った。地元の中学生も「『朝鮮人を殺せ』とデモの人に言われ、悔しくて悲しくて夜も心配で眠れない。差別はいけないという法律を作って助けてください」と訴えた。

 参院法務委員長の魚住裕一郎参院議員(公明)は「ヘイトスピーチには委員全員が心を痛め、何とかしたいという思いが募った。与野党問わず議論を進めたい」と語った。法務委理事の西田昌司参院議員(自民)は「野党から法案が出ているが、表現の自由との兼ね合いが難しい。与党としてはヘイトスピーチに特化し、これを根絶させる法案を出したい」と述べた。(編集委員・北野隆一)

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