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ソフトウェア高信頼化

「障害未然防止のための教訓化ガイドブック(組込みシステム編)」及び「現場で役立つ教訓活用のための実践ガイドブック(組込みシステム編)」を公開

2016年3月31日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター

背景・概要

 今や我々の社会経済活動は、ソフトウェアを含むITサービスや製品・制御(組込み)システムによって成り立っているといっても過言ではありません。このため、ひとたびこうしたサービスやシステムに障害が発生すると、その影響は経済的な損失にとどまらず、極めて深刻なものとなります。

 IPA/SECが公開情報を元に独自に集計した結果、国内で発生したシステム障害の件数は、2009年では月平均1.3件でしたが、2014年には月平均3.0件となっており、2009年の約2.3倍まで増加しています。

 しかしながら、実際の組込みシステム開発の現場では、企業ごとあるいは製品ごとに技術やプロセスの相違が大きいといった理由から、障害を未然に防止するための知見やノウハウを他部門や他社と共有していく取り組みはほとんど行われていませんでした。

 IPA/SECはこうした背景を踏まえ、2013年度から、重要インフラシステムを中心として、障害事例やその再発防止策などのノウハウを「教訓」として整理・体系化した「情報処理システム高信頼化教訓集(製品・制御システム編)(*1) 」を公開しています。

 今回、IPA/SECが新たに公開した製品・制御(組込み)システムに関わる2編のガイドブックは、自社内で発生した障害事例とその再発防止策に基づき、未然防止に役立つ教訓を自ら作成し、継続的に運用していくためのもので、企業間・業界内のシステム障害防止に重要な情報共有活動を実践的なノウハウで支援することを目的としています。

背景・概要

 自社内で起きた障害の再発防止策の知見を他製品・技術に適用し、同じような障害の発生を未然に防ぐ手立てを講じるためには、ノウハウの一般化をいかに行うかが重要となりますが、製品領域にまたがった知見の一般化は難しく、多忙な開発現場で実践されることはほとんどありませんでした。

 そこで新たに公開した2編のガイドブックのうち「障害未然防止のための教訓化ガイドブック(組込みシステム編)」では、様々な分野の開発実務者にケーススタディを用いた体験型ワークショップに参加いただき、そこでの経験を元に

  • 教訓を抽出する観点(例えば製品・技術、マネジメントなどの職種・分野を指定する観点)の設定
  • 教訓の受け手に応じた気づきの与え方、伝え方の工夫

などのポイントを分野横断的に適用できるノウハウとして取りまとめました。

 また「現場で役立つ教訓活用のための実践ガイドブック(組込みシステム編)」では、自社及び他社で作成された教訓を、「社内教育・研修」「開発プロセス」「設計品質向上活動」の活用シーン別に解説することで、社内ですぐに活用できるよう工夫しています。

 本ガイドブックの公開を通じてIPA/SECは、これまで各企業内で閉じられていた再発防止、未然防止のノウハウが「教訓」としてオープンにされ、企業間や業界内における情報共有活動が進むことで、従来よりも信頼性の高い組込みシステムの構築・実現につながるものと期待しており、本ガイドブックを活用したセミナー等の実施により普及促進を図っていく予定です。

脚注

(*1)初版および2014年度版では対象とするシステムを「製品・制御システム」と呼称していたが、2015年度版より「組込みシステム」の呼称を使用する。

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(参考資料)
 「情報処理システム高信頼化教訓集(組込みシステム編)」2015年度版(2016年3月31日公開)


障害未然防止のための教訓化ガイドブック(組込みシステム編)」及び「現場で役立つ教訓活用のための実践ガイドブック(組込みシステム編)は、 クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
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