失踪の書店関係者の1人 香港に戻る

中国共産党に批判的な本を取り扱っていた香港の書店の関係者が相次いで失踪した問題で、香港から中国本土に連行されたとの見方が出ていた男性が香港に戻りましたが、男性は詳しい経緯を明らかにせず、中国当局から口止めされていると受け止められています。
この問題は、中国共産党に批判的な本を取り扱う香港の書店の関係者5人が去年10月から相次いで失踪し、その後、中国本土で拘束されたり、事情を聞かれたりしていることが分かったものです。
このうち、書店の親会社の運営に関わっていた李波氏は、独自の司法権が認められた香港から中国当局か、その協力者によって中国本土に連行されたとの見方が出ていましたが、香港の警察は、李氏が24日、香港に戻ったと発表しました。
李氏は、香港市民が中国本土に渡る際に必要な身分証を自宅に残したまま失踪しましたが、香港の警察に対し、中国当局の調査に協力しようと、友人の助けを借りて中国本土に行ったとしたうえで、「拉致ではない」と話したということです。しかし、詳しい経緯は明らかにせず、「香港政府の支援は必要ない」と、今月上旬に香港に戻ったほかの2人の関係者と同様の説明をしたということです。
李氏は失踪する前、周囲に「拘束されるおそれがあるため中国本土には行かない」と、話していたことから、香港では、李氏が中国当局から口止めされていると受け止められていて、真相の解明を求める声が収まる気配はありません。