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2016年3月31日 (木)

JILPT『職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態』

HarrassJILPTの報告書(資料シリーズ)『職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態―個別労働紛争解決制度における2011年度あっせん事案を対象に―』がアップされました。

http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/154.html

昨年6月に刊行されていたのですが、諸般の事情でアップが遅れ、ようやく年度内にアップされました。

担当者は、

内藤 忍 副主任研究員

杉村 めぐる 一橋大学大学院経済学研究科 ジュニアフェロー 労働政策研究・研修機構 元アシスタント・フェロー

長沼 裕介 労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー 早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程

藤井 直子 労働政策研究・研修機構 臨時研究協力員     早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程

徐 侖希 労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー 早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程

の5名ですが、既に大学に就職した方も多く、この肩書きはちょっと古いです。

タイトルからも分かるように、私たちが以前行った労働局あっせん事案の分析の、いじめ・嫌がらせに特化したバージョンということになりますが、非常に突っ込んだ分析がされており、この問題に関心を持つ方々には必読だと思います。

各都道府県にある労働局の中から、地域的なばらつき、都市部・非都市部のバランス、2011年度に取り扱った「いじめ・嫌がらせ」のあっせん事案数等を考慮して6労働局を選び、個別労働紛争解決制度におけるあっせんを利用したいじめ事案に関する資料(あっせん処理票、あっせん申請書、あっせん記録票、合意文書等の資料から個人や企業を特定できる情報を抹消したもの)の提供を受けた。提供された事案のうち、職場のいじめ・嫌がらせ事案と思われる 284件を分析対象とし、資料中に記載のある情報を数値化し、統計ソフトに入力した。

数値化した情報は、いじめ・嫌がらせの実態に関する情報とあっせん手続きに関する情報に分類される。いじめ・嫌がらせの実態に関する情報内容を列挙すると、申請人(主に労働者)の性別・年齢・雇用形態、行為者の職位、申請人の所属する企業の規模・業種・労働組合の有無、申請人の他の申請内容、いじめの行為類型(大分類・中分類・小分類)、会社等への相談の有無、いじめによる申請人のメンタルヘルスへの影響、申請人のあっせん申請前後の雇用の状況である。

あっせん手続きに関する情報内容は、あっせん申請の端緒、あっせん手続きにかかった日数、あっせん手続きの終了区分、申請人の請求内容(金銭の場合はその金額)、合意内容(金銭合意の場合はその金額)、会社側の行為の認否状況、あっせん手続きにおける代理人・補佐人の状況であった。

分析方法としては、単純集計表とクロス集計表を作成し、数量的把握を行い、また、個別の事案については質的把握も行うべく、事例としての記述も行った。

上記情報のうち、申請人が受けたと主張するいじめ行為(全879件)については、ワーキング・グループが作成した6つの行為類型をベースにしながら、これらに分類できないと思われる行為については新しい分類を作成し、類型化した。また、全879の行為を参考に、この8類型(大分類)以外に、新たに、中分類(20項目)・小分類(66項目)も作成し、全 879件につきそれぞれ類型化した。

この分類が超詳細です。

0154_03

ちなみに、巻末の資料編に収録されている26の事例のタイトルだけここに並べておきます。

http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/documents/0154.pdf

ひとつひとつ、じわじわくる事案です。

事例概要一覧

事例1 営業成績が悪いことに対し、役員が会議で怒鳴りながら灰皿を投げつけ、他の社員の面前で侮辱等をした事例(正・男)

事例2 職場に座席を用意されず、邪魔者扱いをされ、仕事も与えてもらえずに掃除や草むしりをせざるを得なかった事例(正・男)

事例3 仕事のやり方を教えてもらえない等の嫌がらせ、邪魔者扱い、シフト減らし等のいじめがあった事例(正・女)

事例4 上司から暴言、嫌がらせ、過重な業務の押しつけなどの行為を繰り返され、心身ともに疾患を患い、就労不能の状態となって休職に追い込まれた事例(正・男)

事例5 入社後、営業用にと高額な自社製品の購入強制を受けた上、上司から罵声や暴力、退職勧奨を受けた事例(正・男)

事例6 上司や同僚から日常的に怒鳴られ陰口をたたかれた上、恣意的な仕事の割り振りにより給料が減らされた事例(正・男)

事例7 役員から故意に仕事を邪魔される、無理な作業を指示される、腕をつかまれて怒鳴られる等があった事例(契・男)

事例8 通勤途中での喫煙などの私的行為に対する注意等を社長から受けた事例(正・男)

事例9 高熱による体調不良時に会議出席強要、入院中に関係者への連絡を自らするようにという指示、退職の意思表示後に様々な言葉での嫌がらせを受けた事例(正・女)

事例10 上司からの暴力や罵声による脅しを毎日のように受けた上、顧客をだまして商品を売りつけるよう強要された結果、出社できなくなり退職せざるを得なくなった事例(正・男)

事例11 試用期間中に指導員から、執拗な嫌がらせや立場を利用した脅迫、無理な運転の強要、トイレ休憩の禁止等を受けた事例(正・男)

事例12 業務の一部を委託している会社の社員から、暴言やあらさがし、業務依頼の無視といった嫌がらせを受けた事例(パ・女)

事例13 厳しい営業ノルマを与えられ、達成できなければ異動させるとの脅しや、反省会と称する残業の強制、その他無視や嫌がらせを受けた事例(正・男)

事例14 同僚と先輩から暴言や嫌がらせのような態度を受け、上司からは特定の仕事の指示も連絡事項の伝達もなく、最終的に雇止めされた事例(契・女)

事例15 上司から仕事上の説明が十分になされず、注意事項や対応方法の指示を仰ぐと怒られ、会社方針と異なる対応を指示された事例(パ・女)

事例16 有給休暇取得の禁止、顧客クレームの身代わり、整備不良車両での運転命令、法令等違反行為の業務命令等を受けた事例(正・男)

事例17 派遣先会社の上司による強い口調での叱責や、残業をしなければ終わらない仕事量を就業時間内に終わらせるよう指示を受けていることを、派遣元会社に相談したが対処してもらえず、その後雇止めされた事例(派・女)

事例18 派遣先会社において、約束された昇給がされず、上司から到底無理な業務指示を受け、そのことを抗議したところ、個室で罵倒された末に雇止めされた事例(派・性別不明)

事例19 成果を確認されることなく上司の一方的な判断によって業績評価を下げられ、減給、降格処分を受けた上、残業禁止、過度の叱責、尾行、暴力等を上司や同僚から受けた事例(正・男)

事例20 上司からの体型に関する発言に加え、同僚からの無視や度重なる文句にも上司は対応せず、会社からは一方的に労働時間の短縮を告げられ、上司等に理由を尋ね相談したところ罵倒されるなどして退職させられた事例(契・女)

事例21 名前ではなく「ばばあ」などと呼ばれ、太ももを触るなどの行為を受けた事例(パ・女)

事例22 同僚の前で、異性であれば誰とでもみだらな行為をする人物であるかのように言いふらされ、会社側から適切な対応策も講じられず、その後も無視をされる等のいじめが続いた事例(パ・女)

事例23 職場内で孤立しており、仕事ができないことで有名だとして、辞めるか、異動するかしかない等と上司等から退職を勧奨するような発言を受け、退職に追い込まれた事例(パ・女)

事例24 仕事のミスを上司に報告しなかったことを問題視されたり、異動を契機に仕事をさせてもらえない状況におかれたり、罵声を浴びせられたりしたことで、精神的苦痛を感じ、退職せざるを得なくなった事例(正・女)

事例25 先輩から、大声で怒鳴る、無視する、プライベートに干渉するようなことを言われるなどの行為を受けたり、一貫性のない指示をされ混乱させられるなどして、うつ病となり、職場環境改善等の要望をするが対応されなかった事例(契・女)

事例26 上司から、辞めさせたい等の陰口を言われ、また、同僚に誤って送ったメールを悪質とされ始末書の提出を求められたこと等により退職を余儀なくされた事例(正・女)

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