国内男子開幕前連載（中）　堀川未来夢　“片山晋呉のまね”して土台作り

　大学を卒業して１年目、アマからプロになって、大きな心境の変化がありました。そんな中で、昨季は思った以上の成績でした。

　思い返せば、「プロになろう」と決めたのが大学４年の時。ＱＴ（ツアー予選会）は「１次、２次、３次…。どこで落ちるのかな」と思っていたので、ファイナルまで行けたのは目標以上でした。そのファイナルでも、（ツアーに優先出場できる）３５位以内に入るという目標もなく、６日間プレーできればと思っていたくらいでした。

　アマ時代はツアーに６試合出て、すべて予選落ちでした。正直、昨季も「厳しいかな」と思っていました。だけど、初戦の東建ホームメイト・カップで初めて予選を通過できて、自信ができました。ブリヂストンオープンでは、１年目の自分にとって、あまりにも早く「最終日最終組」を経験することができました。うまくスコアを伸ばせなかったけれど、２位でこらえられたことはすごく良かったと思っています。

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　シーズン中盤、飛距離を伸ばそうとしたり、スイングを少し変えようとしたら、８試合中７試合で予選落ち。そんな苦しい時、大学の先輩でもある片山晋呉さんと練習ラウンドをするようになりました。片山さんの考え方、マネジメントを学び、攻め方を変えてみたら、ゴルフの見え方が大きく変わりました。

　前半戦はガムシャラにピンを狙うゴルフで、極端に言えば、イチかバチか。４日間やれば、バチに行ってしまう。だから、一見守りのようなゴルフだけど、セーフティーにグリーンの真ん中を狙うゴルフに切り替えました。「この距離ならピンを狙おう」と自分の力量を把握して、ピンを狙う局面を抑えるようにしたら、なぜか結果が出るようになりました。

　技術的な部分でも、とにかく片山さんのまねをしました。片山さんは新しいことをやるのではなく、いつも同じこと、地味な練習を積み重ねて土台をしっかり作っていく人です。曜日ごとに練習メニューがあり、７、８週続けて試合に出ていると下半身が動かなくなるので、月曜日の練習は下半身を使って連続打ちをしたりするなど、とても考えている。ルーティン、自分のペースを作るのがうまく、地味な練習を結果につなげている。最初はどんな意味があるのか分からなかったけれど、片山さんのまねをすることで、自分も同じようなことを大切にするようになりました。

　自分を見失いかけていたことにも気付くことができました。飛距離が出ないのに飛ばそうとして、曲がらない堅実なゴルフが崩れてしまっていました。それが中盤戦でした。最も大切なのは、自分のゴルフを確立すること。ラフから残り１５０ヤードより、フェアウエーから残り２００ヤードの方がよっぽど楽。自分の長所はアプローチ、パターだと思っているので、いくら飛ばなくてもアプローチ、パターで詰められればパー、バーディーは取れる。そこを大事に、今も練習しています。

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　今季は一人暮らしも考えましたが、日大での寮生活を続けることにしました。毎朝５時半に起きて、門限は午後１１時。厳しい生活でトレーニングの時間も決められている。ただ、１人でやるより、みんなでやる方ができないこともできたりします。敷地内にはパッティンググリーン、バンカー、打撃練習場もあり、環境は抜群です。そこからはやはり離れたくないですね。

　今季の目標は、１勝することです。勝つことを意識してやりたいと思っています。１年間を通して、コンスタントに良い位置につけ、チャンスが来たときに優勝を狙いたい。優勝したらもっと高望みするかもしれないけれど、今は目の前の一歩一歩。ゆくゆくは松山英樹さん、石川遼さんみたいにＰＧＡ（米男子）ツアーも出てみたいけれど、そこは見ないで一歩一歩ですね。１つ１つ、目の前の達成できる、可能なことからかなえてきたので、これからも１つ１つ、目標をかなえていきたいと思っています。　（取材・構成＝松岡祐司）

＜堀川未来夢（ほりかわ・みくむ）＞　１９９２（平成４）年１２月１６日生まれ、神奈川県厚木市出身の２３歳。１７６センチ、７５キロ。４歳からゴルフを始め、日大時代は２０１２、１３年国体優勝、１４年アジア・パシフィックアマ選手権２位。１４年１１月プロ転向。昨年８月のネスレ日本マッチプレーでは１回戦で石川遼を破った。同年１０月のブリヂストンオープン２位が自己最高。プロ１年目の１５年シーズンは賞金ランク４１位に入り、初のシード権を獲得。趣味は映画観賞。