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<2016 プロ野球を楽しむ>
山本昌流プロ野球観戦術。

 

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Tadashi Shirasawa

 昨季32年間の現役生活に幕を下ろした山本昌は、齢50にして野球解説者に“転職”した。慣れ親しんだグラウンドを離れ、マイクを前に野球の魅力を伝えるのが新たな使命だ。

 新人解説者のデビュー戦は昨秋のCS(クライマックスシリーズ)と日本シリーズ。解説席から見おろす光景は発見に満ちていた。

「小学校からピッチャーひと筋でしたので、マウンドからの風景と高い場所から見る光景とは全然違っていました。走塁や作戦の動きを見るにつけ、野球ってこんなに難しかったんだなと改めて思いました。守備隊形も、もちろん動いているのは分かっていましたが、試合終盤の2アウト二塁では外野手がこんなに前に出て来るのか、自分が投げていた時もこんなに前に来てたのかとびっくりしました(笑)」

伝えたい“プロ野球のすごさ”。

 これからファンに伝えていきたいのは、“プロ野球のすごさ”だという。

「プロ野球選手には超人的な能力があるし、想像を絶するような練習もしている。だからこそゲームの中で、ふつうの人には真似できないプレーが随所に出てくるんです。今は少子化の時代でもありますし、そうしたプロ野球のすごさ、プロ野球選手のすごさを伝えることで、野球の底辺拡大にも貢献していければと考えています」

 伝える側に立った山本の最大の武器となるのは、長年の経験で培われた“プロならではの視点”だろう。山本はその一例に「初球の入り方」を挙げた。

「引退した選手のことしか話すわけにはいきませんが、金本(知憲・現阪神監督)選手はランナーの有無にかかわらず初球を絶対に振ってこないバッターでした。一方で宮本(慎也・現解説者)選手なんかは、ランナーがいない時は振ってこないのに、いる時は必ずと言っていいほど振ってくる。そうした型の決まった選手がいる一方で、初球への対応がころっと変わる打者ももちろんいます」

【次ページ】 全てのフォアボールのうち7割は初球がボール。

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