「あかつき」異常見られず 本格観測へ

機体の一部が壊れるトラブルが起きたあと、去年、再挑戦に成功して金星の上空に到達した探査機「あかつき」について、JAXA宇宙航空研究開発機構は、これまでの試験観測の結果、機器に異常は見られないとして、来月中旬から本格的な観測に入ることを明らかにしました。
6年前に打ち上げられた金星探査機「あかつき」は、メインエンジンが壊れ、金星を回る軌道に入ることに一度失敗しましたが、去年12月、残された小型のエンジンを使って再挑戦した結果、日本の探査機として初めて地球以外の惑星を回る軌道に入ることに成功しました。
ただ、「あかつき」は、すでに設計寿命を超えているうえ、再挑戦までの5年間に太陽の強い熱にさらされたことで、観測機器が正常に作動するかどうか心配されていました。
これについて、JAXAは31日記者会見し、責任者を務める中村正人教授は「探査機や搭載カメラなどは健全な状態だった」と述べ、これまでの試験観測の結果、機器に異常は見られず、来月中旬から本格的な観測に入ることを明らかにしました。これまでの試験観測では、金星の南半球に標高4000メートルの台地が数千キロメートルにわたって広大に広がる様子が捉えられたほか、金星の北半球から南半球にかけてひとかたまりになった巨大な雲の様子が捉えられているということです。
観測チームの1人、JAXAの佐藤毅彦教授は「金星の不思議な気象などの特徴を明らかにできるよう取り組んでいきたい」と話しています。