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2016年3月31日 (木)

社員全員取締役!?

96f1413b0efd0bd9e57fc7702b6f9487d70弁護士の佐々木亮さんが、

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sasakiryo/20160330-00056024/(社員全員を取締役にしたら残業代は払わなくてもよいのか?~「類塾」を営む株式会社類設計室のやり方)

という記事を書かれているのですが、

あまり一般の方には知られていませんが、労働業界周りの人であれば誰でも知っている超有名な「労働判例」という雑誌があります。
労働判例(2016年4月1日・1128号)労働判例(2016年4月1日・1128号)
私も労働事件を扱う弁護士の端くれなので、この雑誌を定期購読しているのですが、最新号におもしろいというか、目を疑うような事件が載っていました。
それは、関西で「類塾」を営んでいる株式会社類設計室が被告となった事件です(類設計室(取締役塾職員・残業代)事件・京都地裁平成27年7月31日判決・労働判例1128号52頁)。
ちなみに労働者の代理人は渡辺輝人弁護士です。

いや、問題は残業代だけじゃないでしょ、というか、残業代だけならば、管理監督者に仕立てておけばいいのですが、社員全員取締役、ということは、社員全員労働者にあらず、ってことで、ということは、そもそも労働者ではないんだから、一切の労働法が適用されないということで、残業代どころか、そもそも賃金を支払う必要すらなく、労働時間も安全衛生も一切規制がなく、被用者保険にも当然入れず、お前はクビだ!と言われても、それは取締役の解任なので解雇ではなく、要するに労働者の権利は一切なくなってしまうということになるわけであって、残業代だけじゃないでしょ。

あんまりものごとを唯残業代主義で語らない方がいい、というか、労働者に認められている権利ってもっともっと広範にわたっているのです。

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コメント

この理屈どこかで読んだような…と思ったら、その昔オタキング岡田斗司夫氏が「身内内での作品コピーや上映は著作権法適用の例外扱いになっているのだから、関係者全員を養子にしてしまえば堂々と作品コピーができるじゃないか」と弁護士相手に対談で大風呂敷を広げていたのと同じ論法ですね。

「道徳感情論」を「国富論」を世に問うた後も改訂し続けたアダム・スミスさんも約250年の時を経ても人のサガといえる「私が一番=確証バイアス」を乗り越える「中立な私」をあの本からも学ぶことは出来なかったのだなあと妙に感心されているような寓話もどきなエントリでした(笑)。

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