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 川の水に含まれる魚のDNAを分析したところ、大阪湾に生息するスズキなどが淀川の堰(せき)に設けられた魚道を通り、京都市内まで来ていた――。こんな調査結果を龍谷大と神戸大のグループが発表した。堰やダムにある魚道が機能しているかどうかを、従来の方法より費用や労力をかけずに調べられると期待している。

 グループは淀川河口から琵琶湖までの15地点で1年間、月ごとに水を採取。魚の体やフンから出る「環境DNA」の有無を調べ、海から川にも入り込むスズキとボラがどの地点まで来ているか確認した。

 2種とも河口から約36キロ上流の京都市伏見区内まで遡上(そじょう)しており、魚道を備えた淀川大堰(大阪市、河口から10キロ)を越えていた。一方、魚道がない天ケ瀬ダム(京都府宇治市、河口から53キロ)より上流ではDNAが検出されなかった。

 これまでの調査はタグを付けた魚を捕って確認する方法など、手間と費用がかかるのが課題だった。グループの山中裕樹・龍谷大講師は「DNAの分析は1~2日で済み、調査精度も従来より高く調べられる」と話している。(阿部彰芳)