うつらないはずのアレルギー、骨髄移植でうつされてしまう…
新たな治療法の発見にも?
ウイルスや細菌で感染してしまう風邪や病気とは異なり、基本的にアレルギーが人にうつったりすることはめったにありませんよね。いま多くの人が患っている花粉症も、花粉に対してアレルギー反応を起こす各人の体質が問題なのであって、どんなに花粉症の人と接触しても、それだけで自分まで花粉症になってしまったりすることはないはず…。
ところが、このほど欧州皮膚科学会(EADV)の発行する電子ジャーナル「Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology」には、骨髄移植を受けて、キーウィアレルギーがうつってしまった患者に関する報告が掲載されました。ただアレルギーがうつった経緯を突き止めるのみならず、今後の新たなアレルギー治療につながる研究にもなるそうです。
白血病に苦しむ、ある46歳の男性は、自分の姉妹から骨髄移植を受けました。移植手術そのものはうまくいったのですが、術後に男性がキーウィを食べた瞬間、これまで感じたことのなかった異常反応が、舌や唇、のどに表われて驚いてしまったみたいです。これはおかしいと調べてもらったところ、どうやらひどいキーウィアレルギーを持つドナーの細胞が移植されたことが原因と判明したようですね。
実は、このような臓器移植や輸血で、まれにアレルギーがうつってしまうことも過去に観察されたことがあります。例えば、昨年は輸血を受けた少年が、これまでになかった魚やピーナッツへのアレルギーをうつされてしまった例も報告されました。とはいえ、こうした反応は一時的なもので、体内に入った細胞が新しく入れ替わっていくことで、アレルギーも次第に収まっていくのが普通なんだとか。
しかしながら、今回のケースは、キーウィを拒絶してアレルギー症状を引き起こす細胞は、造血幹細胞に含まれていることがわかってきたそうです。つまり、ここから次々と新しい細胞が作られるたびに、キーウィにアレルギー反応を示す指令も複製される形を取るため、キーウィアレルギーのドナーから骨髄移植を受けた男性は、ほぼ一生の間、うつってしまったキーウィアレルギーを患ってしまうだろうとの見通しが示されています。
非常にレアなケースではあるものの、欧州皮膚科学会は、今回の発見の意義は大きいとしています。というのも、アレルギーの震源となる幹細胞の関連性が明確になれば、アレルギー反応を止めるような指令を持った別の幹細胞を移植すると、今度はアレルギーが治ることだってあるのでは? そんな新たなアプローチの解明が目指されていますね。いずれは骨髄移植でアレルギーを治せるような時代もやってくるのかもしれません。
source: European Academy of Dermatology and Venereology via ScienceAlert
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
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