2016年3月31日(木)
発売日も発表され、さらなる盛り上がりを見せる『ファイナルファンタジーXV』。イベントでは、多くの関連情報も明らかになり、気になった方も多いのではないでしょうか?
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フルCG映画の『KINGSGLAIVE』やセルアニメ『BROTHERHOOD』、発表会終了後より配信されている『プラチナデモ』の情報はもちろん、『FFXV』制作にあたり、具体的に行ってきたことなどをうかがいました。
お話を聞かせてくれたのは、『FFXV』ディレクターの田畑端氏、同作でムービディレクターを担当する野末武志氏のお二方です。
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▲ムービディレクターの野末武志氏(写真左)とディレクターの田畑端氏(写真右)。 |
――『FFXV』では具体的に、どんなことを目標に取り組んできたのでしょうか?
田畑端氏(以下、敬称略):例えば数字で言うと“1,000万本”を目標にしています。『FFXIII』からすると飛躍している数字なので、現実感がないかもしれませんが、それを達成するために何をしなければならないのかを意識することが大事なんです。そこは誤魔化さず、本気で取り組んできました。
あとは何に“挑戦”するのかを明確にしてきました。それは“『GTA』を除く、海外のAAAタイトルに挑む”というものです。『GTA』はHD時代になってから、ブランド力を上げているタイトルで、1発ではなく積み重ねて評価を上げてきています。
しかし、彼らが積み重ねている間に、『FF』は積み重ねられていないんです。もちろん、1発でそこまでたどり着こうとは考えていません。ただ、彼らがやってきたことを我々ができなかったら、当然それを超えることもできません。
『FFXV』が堂々と“AAA”のゲームと呼ばれるためにも、すでに“AAA”と言われているビッグタイトルに挑むことが重要だと考えました。
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――いわゆる“AAA”と呼ばれるタイトルに挑むために、具体的には何をしてきたのでしょう?
田畑:まずは“目指すべきゲーム”を作ることができる組織作りから着手しました。『FFXV』として再出発をする時のベースにあったのは、『FFVII』の成功体験から続くノウハウの集積です。
しかし、それでは限界があります。なんとか形にできた『FFXIII』ですが、彼らはああいうゲームに最初からしたかったのではなく、最終的にああいう形になってしまったのだと思うんです。今まで積み重ねてきた戦い方で作った形ですね。
そして『ヴェルサスXIII』に関しては、完成させるのが非常に難しかった。これまでのノウハウでは限界が見えてしまっていたんです。そこで、過去のプライドは一旦捨てることにしました。
そのうえで、どうしたら目指すべきゲームを作れるのかを考え、やらなければいけないことを洗い出し、徹底的に実行していったんです。就業ルールからワークフローに至るまで、全部変えていきました。
こうして開発チームの土台を作っていったんです。しかしゲーム開発チームだけでは技術的な打開ができないので、野末たち元ビジュアルワークスのメンバーにも参加してもらいました。さらにエンジン開発チームにも加わってもらい、ひとつの組織として、技術革新と組織改革とゲーム開発をやっていきました。
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――あらためてではありますが、今回の『FFXV』としての開発のスタートはいつごろだったんですか?
田畑:2012年の7月ですね。その時は以前の組織の枠組みのままではあったんですが、スタートはこのタイミングでした。組織が今のBD2として、独立したのは2013年の12月からです。
野末たちは2012年7月から同じ場所に移ってもらっていましたが、同じ組織に正式に加わってもらったのはこのタイミングです。
――体制を新たにしたことで、わかったことなどはありますか?
野末武志氏(以下、敬称略):これまでのやり方では、絶対にできなかったということでしょうか。
田畑:人の成長力はすごいなというのが実感としてあります。長く固定化された体制だと、人のパフォーマンスってなかなか最大化されないんだなってことも感じました。固定化されていると、指示系統とは関係ない力学が働きがちだったりもしますよね。
今回我々は組織の固定化はせず、ゴールに向かって必要な編成をし、組織を変え続けているんです。そうすると人の成長力がすごいんですよね。
結果、この3年間で一番財産だなと思えた成果が、組織でありチームでした。それらチームの経験をゲームや映像作品にアウトプットしているのが、リアルな実感としてあります。
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――急に体制が変化すると、最初はついていけなかった人とかいたのでは?
田畑:ほとんどいませんでしたよ。逆に、この動きに乗りたくないという人はいました。今までのやり方や自分の立ち位置が大事な人もいるので、そこは無理をせずに、対応できないようならやらなくていいという方針にしました。
――世界に対抗するためには、枠組みを新しくすることが絶対的に必要だったのでしょうか?
田畑:絶対的に必要でした。これまでのやり方だと、エンカウントシステムを作るエンジニアとプランナー、それとは関係なく、単に絵だけを作っているグラフィックスチーム、そして大まかなオーダーで別の部署にいるムービーチームに映像を作ってもらい、それぞれが作ったものを合体させるんです。これで完成するゲームでは絶対に勝てません。
――そうした作り方が、具体的にどう変わったのでしょうか?
田畑:例えば、会社は縦割りで、なかなか横串って通しにくいじゃないですか。すでに不要な事業があっても、全体の枠組みを維持したままだと統廃合もしにくい。
なので、会社の組織を全部なくしたんです。そして全員平社員にしました。その後、『FFXV』にとって必要な仕組みだけを、まっさらな組織の中にデザインしました。歴史的に続いてきたものも一旦やめて、とにかく垣根をなくしていったんです。
昔のスクウェアの開発は“葉っぱを1年中作っている”ような仕事の仕方をしていると、以前聞いたことがありました。分業して、それしかやらない専門家を決めていった感じです。
でも今の自分たちがやっているやり方は、最初から最後まで“葉っぱ”を作る人はいません。最初に葉っぱが必要なのか花が必要なのか、何がこのゲームの体験に必要なのかを徹底的に設計して、そのためのプロトタイプを作るというやり方にしているんです。
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そうすると、開発初期で必要なのは1人孤独に品質を高める仕事ではなくて、チームとして最終形をどう簡易化して作り上げるかという柔軟な発想、それを効率的に行えるスキルが必要となってくるわけです。
その時のリーダーシップを取る人間に必要なのは、ハイクオリティなCGを作れる人ではなく、そういう人たちに3割のクオリティで作ってもらって、さらに次なるものを手掛けてもらいつつ、必要な家を組み立てる……そんな人たちが必要なんです。
そういう具合に、品質一辺倒な能力ではなく、その状況に合わせた起用によって、多くの人に活躍の場を作っていった感じです。
よく社内で話されている、家を作るという例えで言うなら、木造の一軒家を建てていたのがSD世代の開発だとして、HD世代の開発は鉄筋のビルを建てるくらい違います。
製法はもちろん、材料や量も違えば、工期や業者の数だって違ってきます。一軒家を作る技術で、必死に鉄筋のビルを作ろうとしていたんですから、破たんするのは当然でしょう。なので、作り方をちゃんと鉄筋のビル作りに合ったものに変えていきましょうとしたわけです。
でも、最終的にはスクウェア・エニックスの品質にこだわるモノ作りのチカラっていうのは重要なんです。ベースの技術が変わっているだけで、今はそれらの上で自分の専門スキルやパーソナリティを生かしていいものを作ろうとしている。徹底的に品質を追求する姿勢は、最終段階でこそ大切なんですよ。
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――ゲームをプレイする人からすると、これまでと見た目で違って見える部分はあるんでしょうか?
田畑:まず、その世界が自立的に成立しているかが大きく違うと思います。『FFXIII』までのゲームシステムはセパレート方式といって、マップを歩く、戦闘に切り替えるといった1つ1つのシステムを分離して作っていたんです。
それをつなげてゲームにしていくので、世界が分断されています。ひとつの世界の上で、いろいろな物事を処理していないぶん、マシンパワーの使い方は、戦闘になったら戦闘にだけパワーを使う、戦闘が終わったらフィールドを表示して歩くことだけにパワーを使う。そうすることで高出力なものを維持していたんです。
でもHDになってから、ローディングの仕組みや考え方も大きく変わっていて、その世界に没入して自分の思い付きでゲームをプレイする“自由度”がすごく重視され、そこに応えられるゲームが多くなってきているじゃないですか。
そういった自由さは、世界を分離して組み上げたゲームシステムでは応えることができません。今回は可能な限りユーザーの自由を許すというやり方なので、ひとつの世界ですべてが成立しているという点で、その違いは本当に一目瞭然じゃないでしょうか。
さらに『FFXV』の世界は独立していて、時間も経つし天候も変わるし、モンスターも生きていて、プレイヤーの周りにいる仲間も生きている。そういった要素も、ひとつの世界で処理を完結させているからこそです。
――リアリティもありつつのゲームだと思いますが、そうした部分への考え方はどうでしょう?
田畑:何を体験させるかで変わってくると思います。『FFXV』は仲間と旅をするゲーム体験を提供するものだと決めていました。
そのためには、旅をした感覚が実感として残るくらいの“世界”が必要で、“移動”が必要で、“出来事”が必要で、“仲間”が必要。リアリティはその中での必要性で決めている感じです。
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我々が暮らしているこの現実世界に近しい、でもどこか知らない世界を冒険した体験が重要ではないかと。あと次世代の『FF』に大きく変わったことを知ってもらうために、これまではファンタジーとしてあいまいに表現していたものを、その世界に実在するようにしようと考えています。
“接地感”という言葉で以前から表現していましたが、プレイヤーと主人公と世界をちゃんとつないであげて、途切れさせないようにしたいんです。コントローラを持つと神経がつながっている感覚があるので、それをゲーム世界で生きている感覚にちゃんと変換しようと。
――ちなみに『FF』らしさについて、田畑さんはどのように考えてますか?
田畑:いろいろなところでよく聞かれるんですが、答えは難しいですね。あくまで個人的な考えですが、『FF』のモンスターが登場する時の組み合わせってヘンなんですよ。
他のRPGだとパーティを組んでいる敵に納得感があるのですが、『FF』の場合は用心棒と犬と馬のようなパーティでモンスターが出てきて、「このダンジョンにこいつらが一緒にいるの?」という不思議な感じがするんです。
加えてダンジョンではいびつな生態系と独特の怖さがあって、他にないユニークさが感じられます。体感的に感じていたそれを、今作では現代の技術で作っています。ダンジョンにはちょっと違和感のある不安定な組み合わせのモンスターがいて、先に進みたくなくなるような場所になっています。
あとは遊び方ですかね。『FF』と言えばチョコボだろうと思う人も多いでしょうが、我々はそっちではない。チョコボがいれば上っ面は『FF』っぽくなると思います。でも世界観的に不必要であれば、無理にはいらないとさえ思ったんです。
今回はチョコボが必要だったので入れましたけどね(笑)。そっちではなく、『FF』の遊び方で印象深かったのは、戦闘が終わったらメニューを呼び出して、いろいろと次の準備をするじゃないですか。
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そのメニューとフィールドを行き来する感覚など、原体験的なところを大事にしています。召喚獣もお約束で出すのではなく、その時のテクノロジーを全部ブチ込みましょうと。そんなオーバーテクノロジー的なものをワンボタンで呼べるのが、『FF』の醍醐味だったりすると思うんです。
――何百人もの人がかかわって開発しているのに、仕上がるものが結果的に『FF』らしくなるというのは、どこか不思議にさえ思います。
田畑:そこは我々も不思議ですね(笑)。特に明文化されたりしていませんし、誰かが統括して見ていたりするわけでもない。皆が持っている感覚の集積ですよね。
野末:要素が入っているだけでは『FF』ではないんです。形だけ似せて作っても、魂が入っていないと思います。
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田畑:以前、弊社の北瀬が言っていたんですが、『FF』は『DQ』と違ってオリジナルメンバーが“らしさ”を保っているタイトルではないんだけど、坂口さんがなんとなく持っていた“これが『FF』”という明文化できない大事な部分を、坂口さんと直接仕事した人たちがその後も継承していると。
――『FFXV』は新しい『FF』だと感じられるでしょうか?
田畑:感じてくれる人がたくさんいるとうれしいです。過去の『FF』を否定しているわけではまったくないです。
ただ、この『FF』はすごい! って思ってもらうためには、過去の『FF』を超えていると感じてもらう必要があるわけです。もちろん人によっては『FF』じゃないと思うかもしれませんが。
――『FF』のファンの人たちは『FFXV』をプレイしてどう感じると思いますか?
田畑:一概には言えません。個人的に感じた『FF』ファンの方の期待って、表面的にはその時の最高のグラフィックスで、感動的なストーリーで、これが『FF』だと思える世界観がそろっていてほしいということ。
ただその先には『FF』を好きになったキッカケのタイトルが必ずあって、それは人によってそれぞれ違っている。そして、その時の興奮をもう一度味わいたいと思っているんです。
きっとファンの皆さんは、大事にしているナンバリング作品と『FFXV』を比べると思うのですが、逆にそこに興味があります(笑)。「『FFⅥ』よりダメだよ」とか「俺の大好きな『FFIX』と比べればまったくだ」とか。
そういうふうに言われるほうが自然ですね。そういう中に「自分は『XV』が一番好きになったよ」という人が、ひとりでも多く生まれるといいなと思っています。
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――話は変わって、今回発表された2つの映像作品について、改めて教えてください。
田畑:無料配信となる『BROTHERHOOD』というセルアニメーション作品と、フルCGのアクションムービー『KINGSGLAIVE』になります。
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野末:映像作品を含めた『FFXV』全体で“親子”というテーマがあります。ゲームのほうは王子であるノクトの冒険、『KINGSGLAIVE』のほうはノクトの父親であるレギスの視点で描かれた物語となります。
ノクトが『FFXV』本編で旅をしている裏側では……という描き方をになっています。
――『KINGSGLAIVE』は、なぜCG映像作品という形をとることになったのでしょうか?
野末:『FF』は好きだったけど、歳を重ねるにつれて『FF』やゲームから離れていった方が多くいると思うんです。そういう方たちと『FFXV』の接点をできるだけ広げていくために映像作品という形を選びました。映像はハードを選ばないマルチプラットフォームですから。
――映像の制作にはゲームの技術も使われているのでしょうか?
田畑:それは逆ですね。映像の技術をゲームに落と込んでいます。CGの技術的には映像のほうが先を行っているので、それをいかにゲームの世界にリアルタイムなものとして取り込むかが課題でした。また、フルレンダリング用のアセットをいかに効率よく実機のデータとして落とし込むかというところもありましたね。
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――映像作品の展開を教えてください。
田畑:ゲームとあわせて、『デラックス エディション』も発売予定です。もちろんデジタル配信も予定しています。
野末:配信時期はまだ調整中ですが、基本的には『FFXV』本編よりも先に世に出る予定です。
田畑:そこが重要なポイントです。本編より先に出せなければ、『FFXV』を最大化することにつながりませんから。
ファンはもちろんですが、単にゲームを発売しただけでは絶対に気にしてもらえない層に興味を持ってもらうため、この映像作品を用意しているんです。それらはすべて、『FFXV』をどう最大化するかに帰結しています。
――プロモーション的にも、そうした展開となっていくのでしょうか?
田畑:映像作品は映画会社の人たちを中心として、展開してもらう予定です。また野末は以前に『FFVIIアドベントチルドレン(FFVIIAC)』を作っていますから、その時のノウハウを思い出しながら、より一般化する方向で仕掛けてもらっています。
野末:今回の脚本は、映画業界の方々にチェックをしてもらっています。ハリウッドでシナリオを見てもらって、毎日のようにミーティングを重ねました。
田畑:既存の『FF』をわかってもらっているという前提のシナリオではダメなんですよ。今回のターゲットは『FF』から離れている人たちだったので。もちろん、ファンの方は絶対に満足させるという前提はありましたけど。
野末:ゲームと映画では骨格が全然違うんです。『FFVIIAC』はゲームありきのシナリオでしたが、今回は1本の映画として向き合って作っています。
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――ファンの方が比べるものとしては『FFVIIAC』が出てくると思います。あれから約10年ほど経ちます。その頃と比べて技術的にはどう変わっているのでしょうか?
野末:『FFVIIAC』のころから残っているものはガマン強さくらいしょうか(笑)。『KINGSGLAIVE』は、まったく別物と呼べるもので技術的に同じものは何も使っていません。
――単純に映像を見て、『FFVIIAC』との差はハッキリとわかるものでしょうか?
野末:わかると思いますよ。
田畑:『FFXIII』と『FFXV』を比べるより、誰にでもハッキリわかると思います。全然違うものですので。
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――公開された映像を少し見ただけでも、CGなのか実写なのかわからないと思いました。
野末:『FFVIIAC』の時に感じた限界というのは、感情表現が情報量として少なくなってしまうんですよ。なるべくリアルな人間に近いもので、しっかりとドラマを見せなきゃ映画じゃない。そこにはこだわって、企画の時点からしっかりと組み立てていきました。
――極端に言うと、『FFXV』を知らない人向けの映像作品なんですね。
野末:そうですね。ただ『FFXV』のエッセンスは入れ込んであるので、『FFXV』の全体像を感じることはできると思います。
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――『FFXV』のことを知っている人にはどうでしょう?
野末:主人公のノクトに対する感情移入の度合いがガラッと変わると思います。そこが体験としては一番大きいところで、やっぱり自分で冒険をちゃんと追いたくなるような感情を抱けるようになっていますよ。
――ゲームをプレイする前に見たほうがいいのでしょうか?
野末:それは自由だと思います。プレイする前でも途中でも、終わった後でも、どのタイミングで見ても抱く印象は変わってくると思いますよ。
田畑:親子の物語なので、どちらから入ってきてもいいんですけど、本当に好きな方々には両方見てもらいたいですね。
――もしかしたらネタバレを気にして、本編まで待つ人もいるのではないかと思います。
田畑:ゲームのネタバレはないので、安心してください。本編の物語とは別モノなので。ただバックボーンはすごくわかると思います。スマホでも見られますから、ハードルを感じないで気軽に見てほしいですね。
野末:じつはいろいろと隠し要素も入れています。最初に映像を見た後にゲームをプレイして、またもう一度映像を見直すと、なるほどなと思えるような構造を目指しています。例えばルーナのように、本編と映像の両方に出て、橋渡しをするキャラもいるんです。
田畑:あの水準の映像にすることが、ハードルを感じることなく入ってきてもらうための品質だと思ったので、ノクトの父であるレギスは、映像の品質に合わせたデザインに変えることにしたんです。
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野末:元々レギスは命がギリギリであるという設定があったので、それをちゃんと表現したかったんです。
田畑:ゲームを実際に遊んでみて「なんかお父さん違うな?」となってしまうと、全然つながらなくなってしまいます。そこで、映像側に合わせました。
『ヴェルサスXIII』のころから追ってくれてる人には結構大きな出来事だったと思いますが、ユーザー体験をよりよくするための変更だと理解してもらえるとうれしいです。
――『プラチナデモ』の当日配信には驚きました。
田畑:元々プレイアブルなテックデモを出すことを考えていたのですが、そのままだと間口が狭いので物語を入れました。カーバンクルとのエピソードを楽しみながら、『FFXV』の技術を使った体験に触れてもらうという趣旨なんです。
ゲームの内容を切り出して、一部を体験してもらう体験版とは違います。現時点で完成しているゲームの要素を切り出し、こうしたエピソードに仕立てて提供するもの。少人数で、2カ月ほどで制作しました。
こちらのデモも『KINGSGLAIVE』や『BROTHERHOOD』と基本的に同じ立ち位置で、『FFXV』への導線になってほしいと準備したものです。
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待っていただいているファンの人たちへは「お待たせして申し訳ない」という気持ちも込めて、本編より先に触ってもらうという意味合いもあります。
また『FF』にこれまで接点を持ってこなかった人たちにも、無料のデモなので、気軽にダウンロードして触れてもらって、好きになるキッカケになってくれたらうれしいなと思います。
――セルアニメーションもすでに配信となりましたね。
田畑:『プラチナデモ』同様、セルアニメの『BROTHERHOOD』も発表会後の配信となりました。『FFXV』本編の発売までに5話配信されます。
1話10分程度で、1話は旅の最中にノクトが過去の因縁を思い出すという内容になります。2話以降の公開時期はまだ未定ですが、2話からは仲間との出会いが描かれていきます。
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ゲームをスタートする時にメインキャラクターたちに感情移入していてほしいという思いがありまして。CG映像作品の『KINGSGLAIVE』は、本編より先に見るとノクトに対していろんなバックボーンを感じながら、ゲームをスタートできます。
この『プラチナデモ』も同様で、子ども時代のノクトが、国王である父親がなかなか親子としての時間をさくことができない中、何をガマンして何を願っていた子どもなのかを感じられるのではないでしょうか。キャラクターの背骨を、こうしたコンテンツを通じてしっかりさせていきます。
――ちなみに『プラチナデモ』をプレイすると、本編をプレイする際に特典があったりといったことはありますか?
田畑:本編で、プレイヤーを助けてくれる召喚獣としてカーバンクルが使えるようになります。本編に用意する予定のゲームモードとも絡むのですが、プレイヤーが戦闘中にピンチになると助けに来てくれます。ぜひ、プレイしてください。
――テーマソングのアーティストも発表となりました。
田畑:日本の方々にはなじみが薄いかと思いますが、フローレンス・アンド・ザ・マシーンは欧米では知名度の高いアーティストで、独特の世界観を持ったアーティストです。
今回の取り組みにも興味を示してもらっていて、親子のテーマや仲間とのキズナなど、いろんなことを理解してもらったうえで曲を提供してもらっているんです。
――最後に発売へ向けて、これからの意気込みをお願いします。
野末:ゲーム本編はもちろんですが、映像作品のほうも楽しみにしてもらえればと思います。『FF』の本質って、新しい体験をお客さんに届けるというものがあって、そういう意味でもチャレンジャーだと思うんです。
僕らとしてはゲームも映像もともに、できることは精一杯やってきました。革新的で、新しい挑戦に挑んだ『FF』になっていますので、発売までを楽しみつつ、応援していただけると、ありがたいです。
田畑:発売をユーザーの皆さんと一緒によろこびたいですね。『KINGSGLAIVE』などの作品も楽しんでもらいながら、『FFXV』の発売まで一緒に盛り上がれるとうれしいです。我々は発売まで、やれることをすべてやって過ごします。
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