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安川雅史氏(全国webカウンセリング協議会理事長)の経歴に関する疑問

2008/12/10

Permalink 20:48:51, by Nobuo Sakiyama Email , 8 words   Japanese (JP)
Categories: 情報社会

安川雅史氏(全国webカウンセリング協議会理事長)の経歴に関する疑問

静岡県立大学教授の小島茂氏のブログにテレビに専門家として出演する非認定・DM博士とDM教授というエントリがあり、そこに、おやっと思う名前があった。小島氏としては断定的な評価は行っていないが、全国webカウンセリング協議会理事長の安川雅史氏の名前が出ていた。

全国webカウンセリング協議会といえば、「学校裏サイト」問題にからんで急速に有名になった団体だ。会長に多湖輝氏を頂いているが、実質的には安川氏を中心とした団体といえるだろう。安川氏は、単にテレビに出ているというにとどまらず、先の通常国会では青少年問題に関する特別委員会で参考人を務め、文部科学省ではネット安全安心全国推進会議 委員を今年の8月の第3回会合から務め、10月に始まった「教育の情報化に関する手引」作成検討会 構成員でもある。

その安川氏の経歴についての問題だ。5年前の著書で、「ホノルル大学認定・応用心理カウンセラー」を名乗っているが、ホノルル大学というのは普通にディプロマミルとして知られていて、安川氏の経歴からすると、これはおそらく北海道応用心理学教室で心理学を学んだということだろう。現在でも、北海道応用心理学教室サイトの「生徒から一言」というページには2001年時点でのホノルル大学についての記述があり、Way Back Machineで探れば「ホノルル大学札幌キャンパスについて」というページが出てくる。その後、「ホノルル大学日本事務局」は閉鎖され、北海道応用心理学教室サイトでもホノルル大学の学位授与というのはなくなっているようだ。そして、現在の安川氏のプロフィールには「ホノルル大学」の文字はない。

ここからが本題。安川氏は、現在は「心理学博士」を名乗っている。ただ、「心理学名誉博士」と表記される場合もあり、大学名もない。そして、安川氏の名義での国内の大学の博士論文は存在していない。ここまでを確認した上で、トップページに安川氏のプロフィールを載せている全国webカウンセリング協議会事務局に問い合わせてみたところ、早速、回答を頂いた。以下、前後の挨拶を除いた部分。

お問合せいただきまして、ありがとうございます。安川の博士号についてですが、社会的貢献に送られる海外からの名誉博士号(名誉称号)になります。その他については個人情報になりますので、情報提供はできません。ご了承ください。

「名誉博士号」について「個人情報」というのはどこかがらみで見たような表現なのだが、それは置いておくとして、「名誉」博士号がどこの大学からのものかという部分だけが「個人情報」というのは、かなり奇妙な話だな、とだけ、とりあえず述べておく。個人の公式サイトにも問い合わせてみるか…、と思ったのだが、残念なことにページのフッタをみると「全国webカウンセリング協議会」とあり、結局同じところになってしまうようだ。

なお、心理学関係は少なくとも日本においては国家資格が存在するものではなく複数の民間団体資格が並立していることは知っているし、安川氏や全国webカウンセリング協議会が注目を浴びているのは安川氏のプロフィールに「心理学博士」と書いてあるからではなく、例えば「学校裏サイトリンク集」が注目を集めるなど、一定の実績のもとであることは否定するつもりはない。ただ、公的なところに出てくる「心理学博士」が、じつは「名誉博士」でその大学名は出せません、というのはどんなもんなんだろうね、という疑問を持っている。