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 埼玉県朝霞市で女子中学生(15)が行方不明になり、約2年ぶりに保護された事件で、埼玉県警は31日、東京都中野区東中野3丁目、大学生寺内樺風(かぶ)容疑者(23)を未成年者誘拐容疑で逮捕し、発表した。調べに対し「間違いありません」と容疑を認め「(連れ去り当時、女子生徒との)面識はなかった」と話しているという。

 逮捕容疑は、2014年3月10日午後、学校から下校してきた当時13歳で中学1年生の女子生徒を朝霞市内で誘拐し、今年3月27日まで千葉県内や中野区の寺内容疑者宅まで連れ回したというもの。

 捜査関係者によると、女子生徒は、朝霞市の自宅周辺で寺内容疑者にフルネームで呼びかけられ、「両親が離婚することになり、その話をしたい」と言われ、腕をつかまれて無理やり車に乗せられたと説明している。女子生徒も寺内容疑者について「知らない男」と話している。

 女子生徒はそのまま目隠しをされて千葉市内のアパートに連れてこられ、約2年間いた。玄関ドアには、中から開けられない別の錠が付けられていたとみられ、外出の際も寺内容疑者に手をつかまれていたため逃げ出せなかったという。

 寺内容疑者は今年2月、中野区のアパートに転居。このアパートのドアは中から開けることができ、女子生徒は今月27日、寺内容疑者が外出した隙に逃げ出した。室内を清掃中に見つけた硬貨を使い、東中野駅の公衆電話から自宅に電話し、110番通報して助けを求め、保護された。

 寺内容疑者は翌28日未明、静岡県伊東市内で首から血を流していたところを発見され、身柄を確保された。「大変な事件を起こしてしまった」「家族に申し訳ない」と、ペンで書かれたレシートを持っていたという。確保場所近くからは、携帯電話など寺内容疑者の所持品が見つかった。

 静岡県伊豆の国市内の病院に入院していたが、埼玉県警は31日朝、病院内で逮捕状を執行し、捜査本部のある朝霞署にヘリコプターを使って移送した。

 県警は今後、連れ去りの詳しい経緯とともに、監禁容疑なども視野に調べる。