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安全保障関連法施行 自衛隊の即応性確保も「未完」の防衛法制 不断の見直し不可欠
集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法の施行により、法制上は自衛隊の活動は質量ともに拡大され、高度な即応性の確保と米軍との強い連携が期待される。安全保障関連法はあらゆる事態に対応し、国家と国民の安全を守る防衛体制を構築するのが眼目だが、「欠陥」も残されており、不断の見直しが求められる。(峯匡孝)
■邦人救出
地球規模でテロが勃発する中、課題となっているのが在外邦人の保護だ。平成25年1月のアルジェリア人質事件を機に、政府は自衛隊による在外邦人の輸送について従来の航空機や艦艇だけでなく、陸上輸送を可能にした。
安全保障関連法では、さらに「救出任務」を追加した。政府が想定する事例は8年のペルー日本大使公邸占拠事件のように、在外公館がテロ組織に占拠されるケースだ。ただ、救出任務の実行には、当該国の同意のほか、当該国の権限がその地域に及んでいることなど3つの要件を満たさなければならない。