ビジネスマンの皆さん、会社でよく上司から「PDCAサイクルをきちんと回して」と言われませんか?
自分ではきちんと回しているつもりなのに、どこが問題なのか分からない、という状態に陥ったことがあるあなた。
もしかして、「PDCAサイクル」のことを正しく理解できていないかもしれません。
今までやっていたことは無駄だったのか・・・と肩を落とさなくても大丈夫!
今一度、PDCAサイクルについておさらいしてみましょう。
PDCAサイクルを回すことにより、その施策の効果や問題点が明確になり、目的を達成するためには何が必要なのか、または、何を改善する必要があるのかを炙りだすことができます。
そうなれば、当然、作業効率があがりますし、常に目的意識を持って仕事に取り組めるようになります。
この記事を読む3分間が、あなたにとって前述のような効果をもたらすかもしれません。
騙されたと思って読んでみてください。
PDCAって何?
PDCAサイクルとは、業務プロセスの管理手法の一つで、計画(plan)→実行(do)→評価(check)→改善(act)という4段階の活動を繰り返し行うことで、継続的にプロセスを改善していく手法(*1)のことを指します。
*1:IT用語辞典 e-wordsより
PDCAサイクルは、元々製造業の品質管理を目的として使われていたサイクルのことで、アメリカのウィリアム・エドワーズ・デミング博士(1990~1993)によって提唱され普及しました。
近年では、日本でも製造業に限らず様々な業種や職種の間で用いられており、ビジネスシーンでもその考え方は取り入れられています。
では、それぞれの工程別に理解を深めていきましょう。
Plan (計画)
・目標を設定し、その目標達成のために何が必要なのか仮説をたてて施策に落としこむ。
その際、必ず具体的なKPI(*2)を設定する。
(*2)KPI:KPIとはKey Performance Indicator の略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標のことをいう。(コトバンクより)
Do(実行)
・計画時にたてた施策を実行にうつす。
Check(評価)
・計画にそって施策を実行できているか検証しながら、計画段階で設定したKPIとの差異を確認する。
Act(改善)
・Check段階で設定したKPIを達成できている場合は、その効果を高める施策を考える。または、計画段階で設定したKPI値が妥当か否か見直しを行う。
・KPIが目標値に届いていない場合は、達成するための改善策を立案する。
PDCAの事例
どの工程で何をすべきなのか、正しく把握できたところで、実際のあなたの業務にどう落とし込んでいくのか、私の友人の場合を例に挙げてみてみたいと思います。
私の友人Aさんは営業で、部署の売上目標が未達成であるため、既存に設定しているPDCAサイクルの見直しをチームメンバー5人ですることになりました。
Plan (計画)
目標達成のためにどのようなタスクをこなす必要があるのかを洗い出し仮説をたてていきます。具体化させる時に、タスクを細分化して考えることをお勧めします。
そうすることで、その作業に必要な時間や工数、リソースを割り出すことが可能です。この際、他の仕事との兼ね合いを考え、実行可能なスケジュールをたてることが重要です。
また、PDCAサイクルを回していくにあたって、定量的なデータをレポートとして残しておくと、その場限りの限定的な施策になることを防ぐことができるため、計画段階で、PDCAを回す目的や意図、レポート作成する際の形式等を決めておくといいでしょう。
【Aさんの場合】
・売上を対前年の同月比120%にする、現状新規の契約数は月2件だが、5件の獲得を目指す
・契約数増加のため、アポイント数を増やし新規の顧客を開拓する必要がある
・提案後、1/2の確率で契約に至るため、確実に5件の契約を獲得するために15件はアポイントをいれられるようにする
・新規顧客にアプローチする時、競合に勝っているポイントを説明するといいのではないか
→別途資料を作成する
・資料をいつまでに作成するか(作成のために周囲の協力が必要であれば、その工数や期間等の相談が必要)
・どのような内容を資料に盛り込むか検討
→既存顧客から収集したアンケート内容を見なおすといいのではないか
Do(実行)
計画したものを実行にうつす段階で重要になるのは、進捗管理です。
抜け漏れ防止のため、ガントチャートや案件管理ツール、カレンダー機能のアラート等を使用すると関係者ともスケジュールを共有することができ、調整も楽になるかと思います。
Aさんの場合
・チームメンバーが個々に進捗管理をしていたため、使用する管理表を一元化した。
→ガントチャートで全体のスケジュール管理をし、期限のあるタスクについてはカレンダーのアラート機能を利用するようにした。
Check(評価)
評価段階で必要なのは、KPIとの差異がある部分の要因を探ることです。要因分析することで、次のフェーズで実際何をするのか明確になります。
また、評価をする時に、計画段階で抜けがあったのか、実行段階で機能していなかったのかを考えながら評価していくとスムーズです。
Aさんの場合
・アポイント数が足りていない
*15件のアポイントが必要だと計画時に数値を出していたが、実行にうつせていない
・売上が対前年の同月比120%という目標をたてたものの、現状達成できそうにない
*実現可能な目標かどうかをプラン段階でもう少し具体的に試算しておく必要があった
Act(改善)
PDCAサイクルの最終段階、改善のフェーズでは、評価段階で明確になった問題点を解決するための改善策を練っていきます。
また、定常的に回しているPDCAサイクルであっても、常に改善策を講じてブラッシュアップすることが大切です。
Aさんの場合
・アポイント数が足りていないという課題には、下記改善策を実施
→これまで夕方に行っていた営業電話を午前中に集中させるようにする
→1日にかける架電数のノルマを設定
・売上が対前年の同月比120%という目標をたてたものの、現状達成できそうにない
→試算をしなおして、売上目標を120%から115%に修正
→売上目標は必須なようであれば、リソースの追加を依頼
まとめ
さて、ここまで読んで頂いた皆さん、PDCAサイクルの精確な定義をご理解頂けましたか。
理解はしているものの、会社で上手く回せていないという方は、まずPDCAを回す体制作りから始めることをお勧めします。そして、PDCAサイクルを回す上で常に念頭に置いて頂きたいのが、目的を見失わないことです。
決してPDCAサイクルをリズミカルに回すことが目的ではありません。根幹の目的は現状改善をして、目標としているKPI値の達成や理想の状態へと近づけることです。
その目標に近づくことで、個々の業務効率は上がり残業時間は減る。その上、会社の業績もアップなんて輝かしい未来が待っているかもしれません。
特に、今、何をどう改善するのか分からないと路頭に迷っている方や、とりあえず担当だから業務を回していて仕事の根本を見失っているという方には強くお勧めします。
さあ、思い切って、上手く回っていないPDCAサイクルの見直しを図ってみましょう!