厚生労働省が30日発表した2015年度の介護職員の賃金調査によると、平均月給は28.7万円と回答者の前年実績より1.3万円上がった。月1.2万円分の介護報酬を積み増したうえ、深刻な人手不足で賃上げを迫られる施設が多かった。それでも全産業の平均や介護施設の他の職種よりも低い。人材確保に向けて処遇の改善や、働き方の効率化が焦点になる。
報酬の積み増しを受けて、介護職員の月給を平均1.2万円以上引き上げた施設を調べた。介護施設内の8職種ごとに月給をみると、介護職員は下から2番目。看護師(37.5万円)、生活相談員(32.1万円)、事務職員(31.2万円)などに及ばない。厚労省の別の調査でも介護職員の平均月給(賞与除く)は23万円で全産業平均より10万円低い。
政府は「介護離職ゼロ」に向けて、介護の受け皿を20年代初頭までに50万人分整備する方針だが、そこで働く職員を確保するめどは立っていない。賃上げを進めるとともに、IT(情報技術)設備やロボットの導入などによる職員の負担軽減も欠かせない。
全国の約1万の介護施設を対象に調べた。今回の調査は15年9月時点だった。