男子トップ選手は大きなミスをしない。ジャンプの回転不足や、スピンの回転数などの細かいミスが勝負を分ける。だからこそ、演技構成点にある5つの要素をもっと分けて採点したらいいのにと思う。5要素はスケーティング技術、技のつなぎ、パフォーマンス、振り付け、曲の解釈です。例えばスケーティング技術も、そんな簡単に上がらない。もっと見極めた方がいい。スケーティングが上手でなくても、表現が良かったらパフォーマンスをぐっとあげてもいい。わざわざ5要素あるのに、一緒くたでほぼ差がない。選手時代から「これは問題では?」と思っていた。あまり言うとたたかれてしまうが……。
■ジャッジの匿名性なくしてほしい
技のつなぎ、複雑なステップなど難しいことをしてもジャッジに評価されているのか、よく分からない。だから、選手は跳べば得点につながると分かるジャンプを強化しよう、となる。でも、ジャンプの種類、技術の難度は、一般の人には見極めがつかないと思う。ジャンプに特化すると、わかりにくくなる。5項目を細かく採点したら、お客さんもわかりやすいと思う。皆さんも表現に注目して観戦してもおもしろいと思うし、あとジャッジの匿名性はなくしてほしい。選手、技術を判定するテクニカルコントローラーの名前は公表されているんだから(ジャッジは名前は公表されても、誰がどの得点を出したかは分からない)。
演技構成点と違い、技術点は細分化されているし、客観的だから得点が出やすい。中には、むりやり点を稼ごうとジャンプをするときに手を上げる選手がいるが、見た目にはあまり美しくないと思う。でも難しいことは難しく、選手の評価に差をつけるためには必要。今の小さい子はこれを当たり前にして練習していると思うので、もうすこし時間がたったらいろいろなポジションを美しく表現できる選手が出てくるかもしれない。今の難しいジャンプも当たり前になったら、表現に余裕が出てくる選手が多く出てくるだろう。