監禁していた千葉市内のアパート

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 埼玉少女監禁事件で身柄を確保された寺内樺風容疑者(23)と女子生徒の暮らしぶりが29日までに、徐々に明らかになってきた。同容疑者は、女子生徒にハンバーグや揚げ物などの手料理を作らせたり、趣味のアニメや少女漫画を見せ、自分好みの“キャラクター”に仕立て上げようとしていた可能性も浮上している。一方で女子生徒は、常に束縛されていたわけではなく、1人で行動できる時間もあった。“空白の2年間”に一体何があったのか――。

 2014年3月、女子生徒は自宅のある埼玉県朝霞市で寺内容疑者に車で連れ去られた。同容疑者は女子生徒の名前をフルネームで呼び「両親が離婚しそうだから弁護士が保護する」と言葉巧みに誘導。車内で女子生徒は目隠しされた。

 着いた先は千葉市稲毛区の寺内容疑者が当時住んでいたアパート。3階建ての最上階で、間取りは2K。パソコンはあったが、テレビはなかったという。当時、同容疑者は隣接する千葉大学の学生で、通学しながら女子生徒を監禁していた。

「黒ぶちメガネをかけていて、髪はおかっぱみたいな感じ。物静かで地味な印象。まさか犯人とは思わなかった」とは同級生の話だ。

 同じアパートの住人たちも「女性がいるとは気付かなかった」と声を揃える。この日、アパートには埼玉県警の捜査員が家宅捜索に入った。

「監禁」と聞くと、結束バンドのようなもので拘束するイメージがあるが、2人の関係性には奇妙な部分もある。

 容疑者の帰宅時間に合わせ、女子生徒はハンバーグや空揚げなどの手料理を作らされていた。食材は宅配サービスによって届けられ、業者によると、最初のころは寺内容疑者が応対していたが、時間の経過とともに、女子生徒が食材を受け取ることもあったという。

「食材がない時は少女ひとりでスーパーに買い物に出掛けることもあったようだ」(関係者)

 付近の住民からも「その子かどうかは分からないが、夜に長い黒髪の女性がジャージー姿で近所を歩いていた」という目撃談がある。
 アパートのドアは内側から開けられないように細工されていたと言われるが、同容疑者の許可があれば、女子生徒は1人で行動できた可能性がある。

 裏を返せば、それでも逃げなかったのだから、女子生徒は寺内容疑者の支配下にあったとみていい。

 警視庁の元刑事で犯罪社会学者の北芝健氏は「貫禄負けという言葉があるが、それに近い。容疑者は男性で年齢も上。肉体的にも精神的にも少女を上回っている。少女はわけのわからない間に目隠しされて連れ去られたが、その時点ですでに容疑者の支配下だ。逃げるのは難しい」と指摘。

 狙われやすいのは(1)顔が犯人のタイプ(2)1人でいることが多い(3)近所付き合いが希薄(4)SNSをやっているような人だという。

 (1)については対策のとりようがないが「LINEやフェイスブックなどのSNSは便利な半面、自分の素性を不特定多数にさらすわけだから、第三者に狙われる危険がある。近くにいる大人たちはそうした子供を守る立場にあるが、地域によっては関心がないところもある」と(4)に関する懸念を示す。

 寺内容疑者は大阪府池田市出身で、高校は地域でも有名な進学校。

 寺内容疑者の実家近くで容疑者を知る男性(46)は「仕事でよくこの辺りを通るんですけど、12年くらい前によくキャッチボールをしてあげてた。アメをあげたりしてね。人なつっこい、素直な子でしたよ。それが、1年半から2年前に見かけた時に、すごいキョロキョロしててね。その時は目つきが怖くて声をかけられませんでした。最後に会ったのはその時です」と明かす。

 男性の話通りなら、女子生徒監禁後の時期に当たるが、監禁女性を関東に残したまま里帰りしていたことになり、だとしたらかなりの強い支配力を持っていたことになる。

 また、一部報道によれば、高校時代の同容疑者は人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の大ファンで、カバンに同作のキーホルダーを付けていたという。寺内容疑者は女子生徒に自分の好きなアニメを見せたり、近所の書店で少女漫画を大量購入していた。“オレ色”に染めたかったのだろうか…。

 一日も早く女子生徒が元の生活を取り戻せるよう祈るばかりだ。