プレイングマネジャーに感染拡大中!?「仕事手放せない病」の治療法!?

(写真:アフロ)

「最近のマネジャーは、プレーヤー化している」

というのは、ここ10年ほど、人材開発業界で最もきく言葉のひとつになっています。

ここではマネジャーを「Getting things done through others(他人をつかって成果をだすこと)」というよく知られた定義でかんがえましょう。

経営学では、マネジャーとは、元来、「自分では、仕事をせず、他人を動かすことで成果をだす人」とされていました。

しかし、のっけから恐縮ですが、「教科書通りのマネジャー」は、今の日本の職場には、なかなか探すことが難しくなっています。いわゆる「プレーヤー化」が進んでしまったのです。

調査と職位によっても違いますが、「マネジャー自身も、個人として達成しなければならない目標・数字をもっていること」を仮に「プレーヤー化」というならば、今、日本の会社組織の課長クラスの、だいたい7割から9割くらいのマネジャーは「個人目標」をもっています

僕のかかわった調査では、喫緊の数字は「マネジメントしかしないマネジャーは2.8%、4.2%」しかいません。まーほとんどの課長級マネジャーはプレーヤーなのでしょう。

要するに、

いわゆる教科書どおりの「マネジャー」はいない

ということです。

しかも、この値から考えるに、

職場にいるのは「プレイングマネジャー」ではありません

職場には「マネジングプレーヤー」がいるだけ

です。

このように、現代、マネジャーになるということは「プレイングマネジャー」ないしは「マネジングプレーヤー」になるということでもあります。

で、ここからが問題です。

このような状況下で「プレイングマネジャー」になる場合、とっても大切なことは、「マネジャーの時間とプレーヤーの時間の折り合い」をつけることです。

プレーヤーの時間を確保しつつも、一方で、しっかりとマネジメントに時間をかける必要があります。ここで重要になってくるのが、タイムマネジメントです。

タイムマネジメントについては、すでに多くの書籍やら実務書がでているので、僕があらためて多くを語ることはございません。ただし、これまで数多くの企業研修に登壇させていただいてきて、経験上、非常に面白いな、と思っていることがあります。

それは、

マネジャーには「他人に任せられない」と思い込んでいる仕事や、「他人に任せられない」のではなく「他人ではなく自分でやりたい仕事」というものが多い

ということです。

そして、そうしたものは日々の仕事のなかで「自明視」され、疑われることはありません。

それを解きほぐすには、自分の仕事といったん向き合い、場合によっては、他者から「問いかけられること」によって、仕事のダイエットをしていかなければならない、ということです。

たとえば、今、課長級の新任マネジャーの方がたに、1日ないしは、できれば数日の自分の予定を書き出してもらったとします。

08:30 打ち合わせ

09:00 面談

09:20 事前打ち合わせ

10:00 全社会議

11:00 中途採用面接

と、このようにおそらくダダダと予定が書き出されることでしょう。そのあとで、このことは、拙著「駆け出しマネジャーの成長論」にも書きましたが、これを分類してもらいます。

最も簡単な分類は「自分がやらなければ対応できないこと」と「自分以外の人でも対応できること(任せることができるもの)」です。

そうしますと、多くの新任マネジャーの方々は、書き出したほとんどの項目を「自分でなければ対応できない」とお答えになります。

しかし、ここでスケジュール整理のいくつかの工夫を僕から伝えます。

あるいは、

スケジュールの中には、「他人に任せられない」のではなくて、「他人にこの仕事は任せたくないので、自分がやりたい」はないですか?

と問いかけます。

スケジュールの中で手放せないものが多い方は、ほんとに、ほんとかを考えてみて下さい。

中には「手放せない」と思い込んでいるものはないですか?

と伺ってみます。

どうしてもスケジュールを手放せない方が多い場合には、

これらのスケジュール項目のうち、自分がやらなければならないものは、その理由を教えて下さい。理由を隣の人に話してあげて下さい。隣の人は「なぜなぜ?」を問うていきましょう。

とつげます。

場合によっては、こうもいいます。

'''

「皆さんの中には、現場から離脱した自分に対する不安もありましょう。いつかはプレーヤーに戻らなくてはならないのに、プレーヤの部分を手放してしまえるか、と。おっしゃる意味はよくわかります。僕もそう思います。'''

でも、マネジャーになった最初のうちにあまりにプレーヤーの部分を多くしていると、プレーヤーに戻る前に、行き詰まったり、倒れてしまいます。すべてを手放す必要はないですが、手放せる部分を少しでも探しましょう」

すなわち、

このスケジュール項目は、ほんとに、ほんとに、自分でやらなければならないのか?

を徹底的に考えてもらいます。

経験上、これだけで4分の1から3分の1くらいは、「もしかすると、この仕事は自分でやらなくてもよかったかも」というものが生まれてきます。

手放せない仕事の中には、「自分で手放せないと思い込んでいたもの」がいくつか含まれているものです。

こうやって、スケジュールをダイエットしないと、マネジメントとプレーヤーのバランスを崩してしまうかもしれませんね。

今日は、プレイングマネジャーについて書きました。プレイングマネジャーは、本当に忙しいものです。そうした方々のご努力には、頭が下がります。まことにお疲れ様です。

同時に、僕もおそらく、プレイングマネジャー? マネジングプレーヤーのひとりですので、今日の内容は、自分にすべてブーメランが帰ってくるようで、心が痛いです。

嗚呼、わかっているんだけどねぇ・・・。

自戒をこめて申し上げますが、プレーヤーとマネジメントのよいバランスをとりたいものです。

お互い、「今」という時間を、何とか生き抜きましょう!

そして人生はつづく

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