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 フランスのオランド大統領は30日、テロ対策として打ち出した憲法改正を断念すると表明した。テロ関連の犯罪などにかかわった重国籍者の国籍剝奪(はくだつ)や、非常事態宣言の規定を憲法に盛り込むことを目指したが、異論が強かった。「これ以上、国内を分断すべきではない」と判断した。

 上下両院の議長らとの協議を踏まえ、大統領府で発表した。

 憲法改正は昨年11月のパリ同時多発テロの直後、両院議員を一堂に集めた会議でオランド氏自身が表明。議論が続いてきたが、国籍を剝奪する対象を「重国籍者」と明記するかどうかなどで両院の結論が割れた。非常事態宣言についても、治安当局の裁量拡大に対する懸念が強く、与党・社会党内にも異論がくすぶっていた。

 オランド氏は「テロの脅威に対し、国民の結集をはかってきた」としつつ、4カ月を経ても結論が出ない現状に、「憲法改正の議論を終わりにする」とした。(パリ=青田秀樹)