ヘイトスピーチ 3年半で1152件確認 法務省

ヘイトスピーチ 3年半で1152件確認 法務省
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法務省は、ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動に関わっているとみられる団体が行ったデモや街宣活動について、初めての調査を行い、去年9月までの3年半の間に、全国で1152件を確認したとする調査結果を公表しました。
法務省は、ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動の実態を明らかにするため、インターネットでの検索や地方自治体からの聞き取りなどの方法で、初めてとなる調査を行い、その結果を公表しました。
それによりますと、平成24年4月から去年9月までの3年半の間に、ヘイトスピーチに関わっているとみられる団体が全国で行ったデモや街宣活動を合わせて1152件確認したとしています。
年別では、平成24年の9か月間が237件、平成25年は347件、平成26年は378件で、平成27年は9月までで190件となっています。
また、こうしたデモと街宣活動のうち、特定の民族の集団を一律に排斥したり生命に危害を加えたりするなど、一般的にヘイトスピーチとされる内容をテーマにして行われたものは、平成24年に14件、平成25年に20件、平成26年に10件、平成27年に2件の合わせて46件が確認されたとしています。
今回の調査結果について法務省人権擁護局は「北朝鮮の拉致問題や外交問題など、ヘイトスピーチには当たらないテーマで行われたデモや街宣活動の中にも、現地でヘイトスピーチを行っているケースも多く見られた」としています。

動画投稿サイトに今も投稿

ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動を含む街宣活動を写した映像は現在もインターネットの動画投稿サイトなどに投稿されています。法務省は、去年12月、差別的な言動を受けた被害者側の申告に基づいて動画を削除するよう複数のサイトに初めて要請し、一部が削除に応じました。動画配信サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴは、「法務省の要請にかかわらず、自社のガイドラインに基づいて当事者の権利が侵害されているか明確に判断できる場合に限り、削除を実施している」と話しています。
ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動を巡っては、全国各地でこうした言動を含むデモが今も毎週のように行われています。
警察庁が国内外の治安情勢を分析した報告書、「治安の回顧と展望」では、極端な民族主義・排外主義的主張に基づいて活動する団体を「右派系市民グループ」と位置づけています。報告書によりますと、こうした団体のデモは、おととしはおよそ120件、去年はおよそ70件行われ、一部の参加者による過激な言動があったとしています。
今月末に都内で行われたデモでは、「安易な移民・難民の受け入れに反対する」と主張しながら、「朝鮮人は出て行け」と叫んだり、特定の民族を差別する表現が書き込まれたプラカードが掲げられたりしていました。こうしたデモに反対しているグループは沿道に出て、「ヘイトスピーチに当たる」と批判していて、両者がつかみ合いや口論になり、これまでに逮捕者も出ています。
日本国内のヘイトスピーチに対しては、国連の人種差別撤廃委員会がおととし日本政府に、法律の整備を進めて規制するよう勧告しています。また、国内では、全国の地方議会でヘイトスピーチの根絶に向けた法整備などを求める意見書の可決が相次ぎ、ことし1月には大阪市でヘイトスピーチ対策を盛り込んだ条例が初めて制定されました。