「凍土壁」計画を認可 31日昼ごろから凍結開始

「凍土壁」計画を認可 31日昼ごろから凍結開始
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東京電力福島第一原子力発電所で、汚染水対策の柱とされながら凍結が始められない状態が続いていた「凍土壁」について、原子力規制委員会が30日、計画を認可し、東京電力は31日昼ごろから本格的な凍結を始めることを決めました。
「凍土壁」は、汚染水が増える原因となっている福島第一原発の建屋への地下水の流入を抑えるため周囲の地盤を凍らせて地下水をせき止めるもので、先月、2年越しで進められた建設工事が終わりました。
しかし、東京電力の当初の計画では、地下水の水位が下がりすぎると建屋内の汚染水が漏れ出すおそれがあるとして原子力規制委員会の議論が長引き、凍結が始められない状態が続いていました。
このため東京電力は、汚染水が漏れ出さないように建屋の下流側を先に凍らせたあと、上流側を段階的に凍らせるとした新たな計画を提出しています。
30日の会合で規制委員会の田中委員長は「凍土壁の運用は一種のチャレンジなので、十分なデータを取って監視しながら進めることが必要だ」と述べたうえで計画を認可し、建設開始からおよそ2年を経てようやく運用が始まることになりました。
これを受けて東京電力は、31日昼ごろから凍結を始めることを決め、1か月半程度で効果が出始め、すべて完成すればほかの対策とも合わせて建屋への地下水の流入量は当初の1日400トンから50トン程度に抑えられるとしています。

田中委員長 効果を慎重に確認し実施を

原子力規制委員会の田中俊一委員長は認可した凍土壁の計画について、「自然現象は思ったようにいかないということを前提にしたほうがよい。壁ができたあとどうなるか分からないと思って1つずつ慎重にやったほうが間違いないと思う」と述べ、効果を慎重に確認しながら進めるよう求めました。
そのうえで、「汚染水を巡るいちばん大きな問題は、溶けた燃料を冷やし続けている高濃度の水であり、凍土壁で汚染水の対策がすべて終わったということではない」と述べ、引き続き汚染水を減らす対策が重要だという認識を示しました。
また田中委員長は、来月にも東京電力の廣瀬直己社長と面会し、汚染水を含めた福島第一原発の廃炉作業の課題や、新潟県にある柏崎刈羽原発の審査などについて、意見を交わす考えを示しました。