タイ新憲法草案 強い軍の影響力に批判の声

おととし軍事クーデターが起きたタイで民主的な政権への移行に向けた新しい憲法の草案が示されましたが、新政権への移行後も軍の影響力を強く残す内容となっていて、主要な政党からは批判の声が上がっています。
タイでは政治の混乱を受けて、おととし5月にクーデターが起き、軍主導の暫定政権が民主的な政権への移行に向けた準備を進めていますが、最初の憲法の草案が軍の権限を強化した内容だったことから世論の批判を受けて廃案となり、草案作りは一からやり直しとなっていました。
憲法の起草委員会は29日新たな草案を発表し、この中では、首相についてこれまで選挙で選ばれた下院議員であることが条件でしたが、軍出身者を含む議員以外の人物が就任することを認めています。さらに、新しい政権が発足してからも任期の5年間は議会上院の全議員250人を軍の司令官や警察のトップをはじめ、軍が選んだ人物が務めるとする条文も盛り込まれ、軍の影響力を強く残す内容となっています。
草案はことし8月7日に予定される国民投票で賛否が問われることになりますが、主要な政党などからは内容が民主的でないと再び批判の声が上がっていて、仮に草案が否決されれば、民政への復帰がさらに遅れることになります。