鴻海、シャープ買収決定=出資1000億円減—債務問題で1カ月遅れ

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は30日、取締役会を開き、シャープ買収を決議した。鴻海グループでシャープの3888億円の第三者割当増資を引き受け、議決権の66%を握る筆頭株主となる。シャープの業績悪化や将来負債となる恐れのある偶発債務を踏まえ、出資を当初予定の4890億円から1000億円程度減らした。シャープも臨時取締役会で出資の減額などを受け入れた。

 国内電機大手が外資傘下に入るのは初めて。鴻海が2月25日に総額3500億円とされる偶発債務を理由に契約の留保を表明して以降、約1カ月間に及んだ買収交渉が決着した。鴻海の郭台銘董事長(会長)とシャープの高橋興三社長が4月2日に正式契約を結び、堺市で記者会見する。

 シャープは2016年3月期の連結営業損益が1700億円の赤字に陥る見通し。鴻海は、シャープの増資に応じる1株当たりの価格を普通株で当初の118円から88円に引き下げ、出資額を減額した。増資に際し、1000億円の保証金をシャープへ提供する。出資減に伴い、シャープは中型液晶への投資を当初の1000億円から600億円に減額するなど事業計画を修正した。

 今回決議では、シャープに起因する理由などにより、10月5日までに増資が実行できなくなった場合、鴻海がシャープの液晶事業を「公正な価格」で購入できるとする条項が加えられた。 

[時事通信社]

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