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 ソバのゲノム(全遺伝情報)を解読することに京都大や石川県立大などのグループが初めて成功した。アレルギーの原因やもちもちした食感のカギとなる遺伝子などが一挙に明らかになり、今後の品種開発を後押しする成果だという。国際科学誌DNAリサーチ電子版に31日発表する。

 ソバはコメやムギと違って自分の花粉では実がつかず、昆虫が花粉を運んでくることが必要だ。世代が変わるごとに遺伝情報が変わるので品種開発が難しく、ゲノム解読も遅れていた。グループは京大が育ててきた遺伝情報のばらつきが少ない品種を使ってほぼすべてを解読、3万6千近い遺伝子を特定した。

 ソバのアレルギーは重症化しやすく、食品に使う場合は表示義務がある。今回、複数のアレルギーの原因遺伝子がゲノムの特定の部分に集中して存在していることがわかった。これらを取り除いたり、働きを変えたりできれば、アレルギーが起きにくいソバができる可能性があるという。

 また、でんぷんを合成する特定の酵素の遺伝子に欠損があるコメはもち米になるが、ソバにもこの遺伝子が四つあることを見つけた。グループの安井康夫・京大助教は「これらの遺伝子を欠損させれば、もちもちした食感のソバが作れるかもしれない。遺伝子のことがよくわからず品種開発が遅れ気味だったが、成果を新しい産業につなげたい」と話す。(阿部彰芳)