妊娠中期の胎児の脳 ジカ熱に感染しやすいか

妊娠中期の胎児の脳 ジカ熱に感染しやすいか
小頭症との関連が疑われているジカ熱のウイルスは、ヒトの細胞に感染するとき、特定のたんぱく質を入り口として利用すると考えられていますが、このたんぱく質が、妊娠中期の胎児の脳の中で大量に作られていることがアメリカのグループの研究で分かりました。日本の専門家は「ジカ熱と小頭症との関係を解明していくのに役立つ可能性がある」と指摘しています。
ジカ熱のウイルスはヒトに感染する際、細胞表面にある特定のたんぱく質を入り口として利用すると考えられていて、カリフォルニア大学の研究グループは、その一つの「AXL」と呼ばれるたんぱく質が脳の中のどの細胞に多く存在するのか詳しく調べました。その結果、このたんぱく質は、妊娠中期に胎児の脳の形成に重要な役割を果たす「放射状グリア細胞」などで大量に作られていることが分かったということです。
グループでは、ジカ熱のウイルスが胎児に感染するとこれらのたんぱく質を利用して脳の形成に関わる細胞に侵入し小頭症を引き起こしている可能性があると指摘しています。
ジカ熱にかかることと小頭症との関係はいまだはっきりとしていませんが、東北大学の押谷仁教授は「今回の研究は脳の形成に関わる細胞にウイルスが侵入しうることを示したもので、今後、ジカ熱と小頭症との関係を解明していくのに役立つ可能性がある」と指摘しています。