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「年ごとに減少も、沈静化とはいえず」

法務省が実態調査結果を公表

 法務省は30日、特定の人種や民族に対する差別的言動を街頭で繰り返すヘイトスピーチの実態を初めてまとめた調査結果を公表した。ヘイトスピーチをしているとされる複数の団体が2012年4月〜15年9月にかけて、29都道府県で計1152件のデモを実施していたことを確認し、「年ごとに見ると相当程度減少しているが、沈静化したとはいえない状況だ」と指摘した。

     インターネット上に公開されたヘイトスピーチをしているとされる団体の情報などに基づき、デモの件数を調べた。12年(4〜12月)は237件、13年は347件、14年は378件、15年(1〜9月)は190件だった。都道府県別では約4割が東京都に集中し、大阪府、愛知県、北海道の順に多かった。

     また、ネット上の動画サイトに投稿された72件分の動画(計約98時間)の内容を分析した結果、特定の民族に対し(1)「日本から出て行け」などと一律に排斥する(2)「皆殺しにせよ」など危害を加える(3)「ゴキブリ」などと蔑称を使って誹謗(ひぼう)中傷する−−ような発言が計1803回確認された。

     ただ、(1)〜(3)に該当する回数は減少傾向にあり、大人数によるデモも減少傾向にあるという。その要因については、京都朝鮮第一初級学校(現・京都朝鮮初級学校)へのヘイトスピーチを巡る訴訟で大阪高裁が14年7月、1審と同様に学校側勝訴の判決を言い渡したことや、社会的関心が高まったことが影響したとみている。

     調査は法務省が外部委託して実施。今年1〜3月には在日韓国・朝鮮人計20人への聞き取り調査も行った。【和田武士】

    「心は殺されました」 川崎の在日3世

     「ゴキブリ朝鮮人は出て行け」「ぶち殺せ」。1月31日、在日コリアンが多く住む川崎市の臨海地域は、ヘイトスピーチの標的になった。平穏な日常を脅かされ、今も住民らには動揺が広がったままだ。

     法務省の調査で聞き取りに応じた在日3世の崔江以子(チェ・カンイジャ)さん(42)は当日、ヘイトスピーチに抗議するために街頭に出ていた。生まれ育った街でデモ隊が行進するのを見て、「怖くて、涙が出てきた」と振り返る。今もその場所を通ると「じわっと涙が出てきて、音と色が無くなるんです」。

     今月16日には横浜地方法務局に被害を申告した。22日にはヘイトスピーチなどを禁じるために野党が提出した「人種差別撤廃施策推進法案」を審議中の参院法務委員会で意見陳述し、「心は殺されました」と訴えた。

     調査結果はヘイトスピーチは沈静化したわけではないとしている。崔さんは「対策がされないことで、私たちは大切にされていないと感じ、二重に傷ついています」と話した。【後藤由耶】

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