核のゴミ「自由な意見交換で容認増える」日本学術会議

原発から出るいわゆる「核のゴミ」について、一般の市民がインターネット上で自由に意見を交わした結果、地元で処分場を受け入れてもよいと答えた人が増えたとする調査結果を日本学術会議がまとめました。専門家は「国の方針や安全性を一方的に伝える今の国のやり方では国民の理解は広がらない」と指摘しています。
「核のゴミ」は、原発の使用済み核燃料から出る極めて強い放射線を出す廃棄物で、国は地下300メートルより深くに埋める「地層処分」を行う計画です。しかし、14年前から処分場の候補地を公募しても決まらなかったため、去年、国が有望な地域を示したうえで国民の理解を得ながら絞り込む方針に転換し、各地でシンポジウムを開いてこうした方針を説明しています。
これに対して日本学術会議の分科会は、どうすれば核のゴミの問題への理解が深まるかを調べるため、全国から男女100人余りを無作為に選び、7人前後のグループに分けてインターネットのテレビ会議で延べ2時間余り、専門家を交えずに自由に意見を交わしてもらいました。
この結果、地元に「処分場が立地することに賛成する」と答えた人の割合は、討論の前の11.9%から23.8%に伸びたほか、地層処分に賛成する意見も32.7%から48.5%に増えたとしています。
分科会の委員長を務める東京工業大学の今田高俊名誉教授は、「みずから考え意見を言い合ったことで、問題を解決しなければいけないという意識が生まれたのだろう。国が行っている一方的なシンポジウムでは国民の理解は得られず、やり方を考える必要がある」と指摘しています。