【動画】安保法施行に各地で抗議の声=恵原弘太郎、川村直子、小川智撮影
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 安全保障関連法が施行された29日、各地で同法に反対するデモなどが催された。国会前での集会には、約3万7千人(主催者発表)が参加。安保法の廃止をめざし、夏の参院選での野党共闘を訴えるスピーチが相次いだ。

 午後6時半、集会が始まると、国会正門前の歩道は、「民主主義を取り戻せ」と書かれたプラカードなどを持つ人たちで埋め尽くされた。市民団体メンバーらが壇上にあがると、大きな拍手が起こった。

 「参院選に向けた野党の結集が進んでいる。みんなで投票に行き、政権に一泡吹かせよう」。学生団体「SEALDs(シールズ)」などとともに集会を主催した「学者の会」の山口二郎・法大教授は、こう訴えた。同会やシールズのメンバーらは昨年末、参院選での野党共闘を支援する団体「市民連合」を設立し、野党候補の一本化などを求めている。

 高校生団体「T―ns(ティーンズ) SOWL(ソウル)」も集会に参加。メンバーの東京都内の高校2年男子(17)は、18歳になって夏の参院選から投票できるようになる友人に、安保法で問題だと思う点を話すことがあるという。自身は夏にはまだ17歳で投票できないが、「自衛隊をめざす友達も安保法に不安を感じている。そんな法律はおかしいと知ってほしい」と考えている。

 集会に来た東京都東久留米市の秋谷かをるさん(69)も「周りの人に安保法の問題を伝えていきたい」と話す。「孫の世代を考えると、この法律で将来どうなるんだろうと不安。自衛隊員も、ほかの誰かも犠牲になってほしくない」

 茨城県古河市から妻と一緒に参加した佐藤克二さん(71)は、自分の車の窓に「9条壊すな」などと書いた厚紙を貼っている。それを見て「詳しく教えてほしい」と声をかけてきた近所の人もいた。「できることをやって、参院選では安保法に反対する野党側に投票する人を増やしたい」と話した。

 29日には札幌市や大阪市、広島市、福岡市などでも抗議行動があった。大阪では、マイクを握った男子学生が「今日という日に絶望せず、声を上げていきましょう」と呼びかけた。(佐藤恵子、後藤遼太)

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 名古屋・栄の公園には夕方に約800人が集まった。「安保法制、施行に反対」「違憲の法律、施行は無効」と訴え、繁華街を行進した。岐阜市街では約100人が参加した。

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