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Outward Matrix

戦略コンサルタントのブログ。コンサルティング業務、英語、戦略策定、採用、育成等について書いています。

哲学を楽しく俯瞰するなら「史上最強の哲学入門」一択だよ

おススメ本

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人類普遍の難問に挑み続けるシビれる学問、それが哲学です。

ぼくは完全に門外漢ですが、それでもやはり気になりますよね。「生きる目的は何か」「そもそものハジマリとはなんだったのか」「ココロとは何から生まれているのか」「この世界は本当に現実なのか、そもそも現実とは何か」的な。ブログの名前がOutward Matrixだったりするぐらいですしね。(いつか由来とか解説したいけど、たぶん誰のためにもならないので控えている)

とはいえ、ほとんど全ての人が哲学書を読みこなすことはできません。難しすぎるんだよ・・・。ニーチェ先生の道徳の系譜、10Pも持たなかったな、確か。

どうしてもというなら止めはしませんが、専門でないならばオススメはしません。「なんでこんな難しいんだろう、いや、オレの頭が悪いだけか?」という無駄な煩悶にとらわれて終わりです。

とはいえ、せっかくだし哲学のエッセンスを学びたいというモチベーションを持つ人もたくさんいるはず。そんなときにオススメなのがこの本、「史上最強の哲学入門」です。

どんな本?

バキをもとに西洋哲学の歴史を俯瞰した本です。最初ね、ぼくも意味がわからなかった。だって、バキですよ?

そりゃぼくだって健康な20代男子ですから、バキは読みます。好きなキャラはリチャード=フィルスですね。かっこいいわ。・・・とはいえ、それがどう哲学と繋がるのか。著者の飲茶さんはこう解説されています。

「哲学初心者や、哲学を学ぼうとして何度も挫折した人向けに、30人ぐらいの哲学者をひとりひとり紹介していくような気軽に読める入門書を書いてほしい」

当初、著者のもとにきた執筆依頼はこのようなもので、まず著者はこう思いました。

「紹介形式の入門書か。書店の哲学入門コーナーでよくある定番のスタイルだよね。さくっと簡単に書けるでしょう」

そう考えていた時期がぼくにもありました。

しかし、実際に執筆に取りかかってみるとまったく想像と違い、苦戦の連続。「ソクラテスは何年にどこどこで生まれて、『無知の知』と言った。それはこういう意味だ・・・・・・」「デカルトは、『我思う、ゆえに我あり』と言った・・・・・・」などと哲学知識を易しい言葉で書き綴っても、なんだかしっくりこない。やっぱりどうしても、どこかで見たような定番の入門書になってしまう。いや、それはダメ。せっかく書く機会を得たのだから、今までにない「史上最高の哲学入門書」を目指して書くべきではないだろうか!では、どうすればいい。今までの哲学入門書には何が足りなかったのだろうか?

結論を先に言うなら、「バキ」分が足りなかったのです。 

 いやいやいやww

それは今までの哲学書にバキ分はなかったでしょうけど、それをいうならスラダン分だってワンピース分だってなかっただろwという話。が、その前書きの直後から始まる東京ドーム地下討議場の説明で圧倒されました。

神殺しは生きていた!更なる研鑽を積み人間狂気が蘇った!超人!!ニーチェだァーーーーーー!!

近代哲学はすでに私が完成している!ヘーゲルだァーーーーーー!!

経験されしだい還元しまくってやる!現象学の開祖 フッサールだァッ!!

哲学・科学なら我々の歴史がものを言う!自然哲学者 デモクリトス!!

・・・なるほど、バキだ。

何がいいの?

もうメチャクチャにわかりやすく、しかもとっても面白い。バキの興奮そのままに哲学の概要を把握できるというすんばらしい本です。しかも、わかりやすいだけじゃなくしっかりとポイントが凝縮されていて、読み終わった後に一通りのことは語れるようになるというオマケつき。カントのところを見てみましょう。

そもそも、ヒュームの主張とは「すべての知識や概念は、人間が経験から作り出したものにすぎない」という内容であった。それはとても説得力のある話のように思える。だが、カントはそこにこんな疑問を感じた。

「それならば、どうして数学や論理学など、多くの人間同士で通じ合える学問が存在しえるのだろう?」

もし、すべての知識や概念が人間の経験に基づくものなのだとしたら・・・・・・、もっと人それぞれの異なった学問体系があってもいいはずである。だって、同じ経験をしている人間なんて、そうそういないからだ。でも、実際には、まったく違った経験をして生きてきた人間同士であっても、時間をかければ必ず同じ結論にいたるもの―たとえば幾何学や数学や論理学などーがいくつも存在する。

カントは、そこにヒュームの懐疑を乗り越える鍵があると考えた。そして、彼はこんな結論に達する。

「たしかにヒュームの言うとおり、人間は経験から知識を得ている。だが、その経験の受け取り方には、『人間』としての『特有の形式』があり、それは経験によらない『先天的(生まれつき)』なものである」

メチャクチャ難しいといわれるカントの論であっても、非常にわかりやすく納得のいく解説をしてくれていて、非常にありがたい。こんな感じで有名な西洋哲学者の主張や背景が一挙にわかる、とてもオトクな本です。

哲学、はじめませんか

キャリア、仕事、金、婚活・・・そういうことばっか考えるとふと虚無感に襲われませんか?たまには、そういう日々の些事から離れ、考えなくてもいいこと、でも本当は重要なことについて考える学問である「哲学」を始めてみてもいいかもしれませんよ。(ハマりすぎには注意ですが・・・)

 

東洋哲学はこっち

 

これもメチャクチャおもしろい。飲茶さんすごいよなあ。