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もし赤ずきんちゃんが銃を持っていたら… 全米ライフル協会が発表した「新しいおとぎ話」
ILLUSTRATION: NRA FAMILY
全米ライフル協会がウェブサイト「nrafamily.com」で発表した「新しい」おとぎ話が物議を醸している。
モチーフになっているのは誰もが知っている童話だが、明らかにふつうとは違うところがある。
それは、どの話にも銃が出てくるところだ。
3月中旬に公開された『(銃を持った)ヘンゼルとグレーテル』では、銃を構えた少年と少女のイラストが掲載されている。物語の序盤は原作と同じように食料不足の問題が描かれているが、その後の展開は元の作品とはかけ離れたものだ。文章はこう続く。
「幸いなことに、ヘンゼルとグレーテルは安全な銃の使いかたを習っており、両親と一緒に狩りをして、ほとんどの食料を自分で賄うことができた。ふたりはまだ一度も狩りをしたことがないが、森の奥深くに獲物を仕留められそうな場所があるのを知っていた。ふたりは何か起こったとき、どうやって身の安全を守ればいいかちゃんとわかっていたのだ」
同作だけではない。今年1月に公開された『(銃を持った)赤ずきん』では、赤ずきんちゃんが森のなかでオオカミに話しかけられたとき、このような行動をとる。
「赤ずきんちゃんはだんだん不安になってきたので、ライフルに手をやり、いつでも発射できる体勢を整えた」
結局、オオカミは武装した赤ずきんちゃんに怯えて逃げ出してしまうのだ。また、彼女のおばあさんも散弾銃を持っていたため、オオカミに食べられずにすんだ。
この赤ずきんちゃんの物語を紹介するにあたって、ウェブサイトの編集者はこう書いている。
「もし不運な赤ずきんちゃんや、ヘンゼルとグレーテルが、銃の安全性とその使いかたを習っていたら、いつものおとぎ話がどう変わるか、考えてみたことはありますか?」
英紙「ガーディアン」によれば、これらの「おとぎ話」が公開された後、ツイッターではいち早く人々が反応し、皮肉のきいたコメントを寄せたという。
同紙は、ワシントンを中心に活動している団体「反銃暴力連合」のフェイスブックページの投稿を紹介している。それによれば、これらのおとぎ話は「子供を堕落させ、彼らに重大な、かつ不必要なリスクを負わせることを推進する、劣悪な文化」を象徴するものだ。
一方で、著者のアメリア・ハミルトンは米テレビ番組「CBS This Morning」のインタビューに「これは大人向けに書いたものよ。だから危険なものじゃないの」と回答。さらに彼女は批判に対してこう反論している。
「ヘンゼルもグレーテルも、自分で銃を持って森の中で狩りをできるくらいの年齢よ」