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【松本浩史の政界走り書き】大阪都構想 橋下氏の強気な手法が挫折につながる皮肉

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【松本浩史の政界走り書き】
大阪都構想 橋下氏の強気な手法が挫折につながる皮肉

 「前回衆院選の前に取りまとめた『維新八策』では、『統治機構の作り直し』を最初に明示し、地方改革へのこだわりをみせた。橋下氏は、都構想の実現に尋常でないこだわりを持っている。日本維新の会が分裂し、野党再編の道筋が描き切れないのだから、なおのことだ」

 橋下氏とたもとを分かった日本維新の関係者は、橋下氏の心境をこう代弁する。ひところの「橋下人気」にも陰りが差し、都構想の歯車を回すことで、窮地を脱したいとの思惑も透ける。

 だが、やみくもな手法一辺倒では、隘(あい)路(ろ)にはまってしまうこと請け合いである。橋下氏らは、都構想の設計図となる協定書の策定に向け、自身や松井一郎知事のほか、府議、市議各9人からなる法定協議会の委員について、反対派を排除し、大阪維新だけで強引に開催する挙に出た。府市両議会が委員の選出方法をめぐり、臨時議会の招集を求めても、耳を貸さないでいる。

 地方自治法では、定数の4分の1以上から招集を求められた場合、首長は20日以内に招集しなければならず、首長が招集しなければ、議長が10日以内に招集するとの規定がある。

 それだから、新藤義孝総務相が15日の記者会見で、「期限内に招集しなければ、明らかな法律違反になる」と指摘したわけだ。もっとも、橋下氏は「形式的には違反だが、違法性はない。全く問題ない」としており、議会側との対立が解消する気配はさらさらない。

 そもそも地方自治は、首長と議会議員を住民がそれぞれ選ぶ二元代表制であり、双方が協調と牽(けん)制(せい)をする仕組みとなっている。橋下氏の態度は、そうした趣旨をないがしろにしているようなものだろう。

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