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河野さん「一緒に戦かった仲間」永田弁護士死去に悼む声

 1994年6月の松本サリン事件で当初犯人視された河野義行さん(66)=鹿児島県霧島市=が29日、28日に死去した松本市の弁護士永田恒治さん(79)の家族葬が営まれた同市の会場を訪れた。所用で滞在していた静岡県で、知人から永田さんの訃報を聞き、急きょ松本に駆け付けた。「永田さんは一緒に戦った仲間。戦友でした」。河野さんは信濃毎日新聞の取材にこう話し、永田さんの死を悼んだ。

 事件の第1通報者の河野さんは、被疑者不詳の殺人容疑で長野県警の家宅捜索を受け、マスコミから犯人視された。河野さんは、永田さん、別の支援者2人、自身の息子の計5人で集まり、疑惑を晴らす策を練った。河野さんは「私は永田さんを全面的に信頼した」と当時を振り返る。

 河野さんが2002〜05年に県公安委員を務めた際、県内で発生した事件について2人の見解が異なることもあったが、普段の付き合いは変わらなかった。永田さんも河野さんに「俺たちは戦友だ」と語っていたという。

 河野さんは10年に鹿児島県に移住したが、その後も松本を訪れる度に永田さんの事務所を訪ね、年に1、2回は会っていた。前回会ったのは昨秋。「酒を控えていると言っていたが、元気だった」とし、突然の訃報に「あまりにも早い」と悔やんだ。

 オウム真理教被害対策弁護団のメンバーで、教団をめぐる訴訟に関わった松本市の弁護士山内道生さん(69)も29日、「惜しい人材を失った。常に正論を言う弁護活動は筋が通っていた」と話した。

(3月30日)

長野県のニュース(3月30日)