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【政治】

冷戦後の自衛隊 海外活動拡大の一途 専守防衛から任務激変

南スーダン・ジュバのPKO司令部周辺で8日、道路を補修する陸上自衛隊の隊員=共同

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 二十九日に施行された安全保障関連法は日本の安保政策を変質させ、海外で自衛隊ができる任務は飛躍的に増えた。一九五四年の創設後、長らく国土防衛や災害派遣を専門にしてきた自衛隊は、冷戦終結後の九〇年代から海外で活動の場を広げ始めた。今回ほどではないが、任務の変遷をたどると、拡大の歴史を重ねてきたことが分かる。 (中根政人)

 自衛隊にとって大きな転換点は、九一年の湾岸戦争だ。日本に軍事面での貢献を求める米国の意向を受け日本政府は戦争終結後のペルシャ湾に掃海艇を派遣。自衛隊は海外初の活動として機雷除去にあたった。

 二〇〇〇年代になると、米中枢同時テロを受けたアフガニスタン戦争、イラク戦争と「米国の戦争」が続いた。日本は米国から人的貢献を求められ、特別措置法を制定し海上自衛隊がインド洋で給油活動を展開。イラクでは人道復興支援の名目で、陸自が他国の領土で給水や道路補修に従事し空自が首都バグダッドへの米兵輸送に取り組んだ。

 並行して、自衛隊は国連平和維持活動(PKO)にも積極的に参加。現在は南スーダンへの自衛隊員の派遣が継続している。

 自衛隊の海外派遣拡大と同時に、日米の連携強化も進んだ。北朝鮮の核開発問題を契機に、九七年には米軍と自衛隊の役割を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定。朝鮮半島有事などを想定した「周辺事態」での自衛隊活動を追加した。

 安倍政権は「日米同盟の深化」「安全保障環境の悪化」を理由に安保法を成立させた。昨年四月には日米ガイドラインを再改定。安保法成立を前に、自衛隊が地球規模で米軍を支援できる内容に作り替えた。安保法施行で、専守防衛という自衛隊の役割を大きく変える活動の拡大が法的に根拠づけられた。

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