中村靖三郎、井上充昌
2016年2月26日22時39分
将来の葬儀代などとして高齢者から集めた多額の預託金を流用していた公益財団法人「日本ライフ協会」(東京都)が26日、自力での再建を断念し、事業を譲渡すると発表した。協会は解散する。会員は希望すれば身元保証など従来通りのサービスを受けられるとしているが、預託金は大幅に減額されることになる。
譲渡先は一般社団法人「えにしの会」(本部・福岡市)。日本ライフ協会と同様に、身寄りのない高齢者らの身元保証や生活支援サービスなどの事業をしており、全国に約350人の会員がいるという。同協会の保全管理人の弁護士らが、26日に基本合意したことを明らかにした。
同協会は、会員から集めた預託金計約8億8千万円の一部を人件費などに流用し、約4億8千万円の不足を生じさせた。負債総額は12億円超に上り、大阪地裁に民事再生法の適用を申請。会員は約2600人で、事業が継続できなければ身元保証を失う高齢者が相次ぐ恐れがあり、支援先を探していた。
同協会は3月3日までにえにしの会と事業譲渡の契約を結ぶ予定。会員はえにしの会と契約し直すが、入会金などの追加負担は原則、求めないという。協会の職員も引き受ける。
ただ、預託金は減額して清算。預けたうちの4割ほどしか返還されない見通しだ。この金額の範囲内で、将来の葬儀代などを賄えるようにするという。
同協会は2010年に公益財団法人と認定され、急速に事業を拡大。全国17カ所に事務所がある。今回の問題を受け、内閣府の公益認定等委員会は今月5日、同協会の公益認定を取り消すよう内閣府に勧告した。(中村靖三郎、井上充昌)
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朝日新聞社会部
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