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 身寄りのない高齢者の暮らしを支えるとうたって集めたお金を流用した公益財団法人「日本ライフ協会」の運営が行き詰まった。高齢化に伴い入院時の身元保証などを引き受ける事業のニーズは高まっているが、契約する際には注意が必要だ。

■入院から葬儀まで

 民事再生法の適用を申請した日本ライフ協会が9日、大阪市内で開いた債権者向けの説明会には、預託金を預けている高齢者ら約230人が詰めかけた。

 破産する可能性を問われた保全管理人の弁護士は「ベストは尽くすが、絶対にないとは言えない」と説明。出席者は「だまされた」「公益認定した政府の監督責任は問えないのか」といった怒りの声をあげた。預けたお金がすでに減っていることに加え、同協会が存続できなければ新たな身元保証人の確保が必要になる。「すぐ解約したい」という一方、事業継続を求める声も相次いだ。

 同協会の基本プラン(約165万円)では、日常生活の見守り、入院や施設に入所する際の生涯にわたる身元保証、葬儀・喪主代行などのメニューが並ぶ。とりわけ身元保証のニーズは高く、インターネットで「高齢者の身元保証」と検索すると、こうしたサービスを請け負う団体やNPOを数多く探し出せる。

 こうしたサービスは、なぜ必要になるのか。司法書士でつくる公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」が2013年に全国603カ所の病院や介護施設を対象に調査した結果、入院や入所時に身元保証人などを求める病院や介護施設は9割を超えた。このうち3割は身元保証人がいないと入院や入所を「認めない」と答えた。

 同法人の川口純一副理事長は「かつては家族や親族が身元保証人になってくれたが、どんどん関係が疎遠になっていき、誰にも頼めない高齢者が増えている。入院できないのでは、と心配する人が民間団体などを頼っている」と分析する。

 厚生労働省令などでは、身元保証人がいないことを理由に介護施設への入所を拒否してはならないと規定する。だが、ルールは徹底されておらず、「どうしても身寄りのない人には複数の団体を紹介している」(大阪府吹田市)などと自治体側も身元保証の団体に頼っているのが現状だ。

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