アルツハイマー病をはじめとする認知症に、結核などの薬として40年以上使われている抗生物質が予防効果があることを、大阪市立大学などがマウスで確認した。安全性や副作用がわかっている既存の薬が活用できれば、新薬と比べて時間や費用を抑えられる可能性がある。
認知症の患者は、65歳以上の約15%程度と推計され、根本的な治療法はない。アルツハイマー病のように脳の神経細胞が死ぬことで症状が進むタイプは、たんぱく質がたまって塊になり、神経を傷つけているとみられている。
研究グループは、リファンピシンという抗生物質を飲んでいた患者に認知症が少ないという1990年代の報告に着目。脳にたんぱく質が蓄積し記憶障害を起こすマウスを使って、効果を調べたところ、この抗生物質を飲んだマウスは、飲まないマウスと比べて、たんぱく質の塊の蓄積量が少なかった。プールでマウスを繰り返し泳がせ、一部だけ浅くなっている足場にたどり着く時間から記憶力を計る実験では、健康なマウスと、ほぼ同時間で足場にたどり着くことができた。
大阪市大の富山貴美准教授(脳神経科学)は「有力な予防薬として、治験につなげたい」と話している。研究成果は29日、英医学誌電子版に掲載された。
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(野中良祐)
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