水中DNAで魚道の効果確認 龍谷大グループ
水中のDNAを解析することで生息する魚の種類などを推定する手法が、ダムなどに併設される魚道の機能の確認にも応用できることを、龍谷大理工学部の山中裕樹講師らのグループが確認し、28日発表した。淀川水系の宇治川や桂川で、海産魚のボラやスズキのDNAが見つかったことから、下流域にある淀川大堰(おおぜき)の魚道の有効性が示される結果となった。
グループは、川などの水から魚のふんやうろこなどに由来する魚のDNAを検出し、生息する魚の種類を推定する手法を開発している。今回、この手法が、河川構造物の影響評価にも利用できるかどうかを検討するため、淀川の河口から琵琶湖まで、支流の桂川や木津川を含む全15地点で採水して調査した。
淀川には、下流から順に淀川大堰(大阪市)、天ケ瀬ダム(京都府宇治市)、瀬田川洗堰(大津市)があるが、魚道があるのは淀川大堰のみ。海産魚で淡水域にも回遊するボラとスズキのDNAを調べたところ、天ケ瀬ダムの下流までは両者のDNAが見つかった。一方、両者がいるはずのない同ダムの上流では検出されず、手法の信頼性も示されたという。
山中講師は「生物に配慮した川づくりができているかどうかの評価に、水中のDNA解析の手法が使える。魚の移動を直接追跡する手法に比べて費用が安く済み、メリットが大きい」と話している。
【 2016年03月29日 12時56分 】