豪グレートバリアリーフ サンゴ白化が「過去最悪」に
- 2016年03月29日
オーストラリア東海岸にある世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」で、サンゴの健康状態が悪化した先に起きる白化現象が過去最悪の状況にあることが明らかになった。
オーストラリア政府のサンゴ白化作業委員会によると、豪ケアンズからパプアニューギニアにわたるサンゴ礁の95%に深刻な白化がみられるという。白化現象が確認されていないサンゴ礁は、520あるうちわずか4つだった。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は昨年、グレートバリアリーフを世界遺産の「危機遺産リスト」に掲載しないことを決めたが、自然保護団体は再検討を求めている。
作業委員会のテリー・ヒューズ教授はBBCに対し、サンゴ白化の南限は見つかっていないと述べ、「あす、ケアンズからタウンズビルまで約400キロにわたり150のサンゴ礁を調べる」と語った。
専門家らはサンゴが回復できるかどうかの判断は時期尚早だとするが、現場で調査する研究者は、白化したサンゴの最大50%が死に至っていると指摘する。
気候変動とエルニーニョ現象が海水温を上昇させ、サンゴの白化を進めているとみられている。
クイーンズランド大学のジャスティン・マーティン教授は、オーストラリアの公共放送ABCテレビで、「いま起きていることが気候変動に関連しているのは疑いようがない」とし、「パリで開かれた気候変動をめぐる会議で、気候変動が起きていると基本的に全世界が認めた。ここでは、我々のサンゴ礁に対する気候変動の影響を目の当たりにしている」と語った。
世界自然保護基金(WWF)のニック・ヒース広報担当者は、グレートバリアリーフ北部に広がる白化していないサンゴ礁が、これまでは南部のサンゴ再生に必要な遺伝子バンクとして不可欠だと思われてきたと話す。
「サンゴ礁を救う活動に(近年)関わってきたが、安全に守られ、過去の白化にも耐えたらしい北のサンゴがあって当たり前だと思ってきた。しかしそれも今や、温度上昇で絶滅の危機にある」
オーストラリア環境省は、国と州が今後10年間でサンゴ礁の保護に20億豪ドル(約1715億円)を投じる方針だと明らかにしている。
大規模に進むサンゴ白化
・サンゴの白化は海水の温度上昇で起きる。
・人間の活動による気候変動からも影響を受ける。海水は地球の温度上昇の約93%を吸収しているためだ。
・サンゴが水温上昇などのストレスを受けた際に、共生藻の褐虫藻(かっちゅうそう)を放出することで白化は起きる。サンゴの色は藻の色。
・通常の状態に戻ればサンゴは回復するが、何十年もかかる可能性があり、ストレスが続くと死に至ることもある。
・いま世界中で進む白化現象は過去最悪とみられている。
(英語記事 Australia's Great Barrier Reef hit by 'worst' bleaching)