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王将、209億円流出 創業家知人らと不適切取引
第三者委調査

2016/3/29 23:58
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 「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)が1993~2006年ごろ、創業家の知人やその関係企業と不適切な取引を繰り返し、計約209億円を流出させていたことが29日、同社が設置した第三者委員会の調査で分かった。このうち約176億円は未回収という。損失は過去の決算に計上済みだが、詳細は公表していなかった。

 調査によると、大東隆行・前社長が射殺される約1カ月前の13年11月、これらの不適切な取引に関する社内調査報告書をまとめていたが、内容を明らかにしていなかった。事件を捜査する京都府警もこの問題の一部は把握しているが、事件との関連は不透明だ。

 第三者委は、前社長の射殺事件を受けて反社会的勢力と同社との関係の有無を調べるために今年1月に設置され、29日に報告書をまとめた。「現時点における王将フードサービスと反社会的勢力との関係は確認されなかった」としている。

 第三者委の報告書によると、知人とは王将創業者の加藤朝雄氏が1977年ごろに知り合った。加藤氏は建築関係の許認可を巡る口利きなどを依頼していたという。

 不適切な取引が始まったのは加藤氏が死去し、代表権が長男の潔氏と次男の欣吾氏に移った後の93年ごろ。同社は知人や知人の関係企業計7社との間で、多額の貸し付けや不合理な不動産売買などを繰り返し、2006年までに相手側に総額約209億円が流出した。

 このうち約33億円分は回収したが、残る約176億円が回収されないままという。

 同社はこれらの取引などを理由に01年3月期に452億円の有利子負債を計上するなどし、経営危機に陥った。00年に加藤氏の妻の弟である大東氏が社長に就任して立て直しを図り、不適切取引で取得した不動産の売却、貸付金の債権放棄を進めて06年9月までに清算した。

 ただ、知人側との接点は残り、同社側はその後も不動産賃貸契約を巡る交渉への関与などを依頼していた。同社は東証1部上場を目指していたが、この不透明な関係が東証に発覚し、12年にいったん断念。13年の東証・大証統合で東証1部に移行した。

 同社はこれらの取引を巡って12年から社内調査を実施。13年11月13日付で報告書をまとめたが、公表は見送り、社長だった大東氏と総務部がそれぞれ1冊ずつ保管していた。関係企業の1社とは今年1月まで取引があったという。

 29日記者会見した渡辺直人社長は知人について「反社会的勢力との認識はない」と強調。不適切取引について「同じようなことを二度と繰り返してはいけない」とした。

 第三者委の報告書を受け、日本取引所自主規制法人は必要に応じて、反社会的勢力との関わりの有無や、過去の決算で有価証券報告書の虚偽記載に当たる事実がなかったかなどを改めて調査する。

 ▼王将社長射殺事件 王将フードサービスの社長だった大東隆行氏(当時72)が2013年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区にある本社前の駐車場で、至近距離から拳銃で撃たれて殺害された。犯人は計画的に待ち伏せしていたとみられる。現場付近でたばこの吸い殻が見つかり、付着物のDNA型が福岡県に拠点を置く暴力団組員のものと一致した。〔共同〕

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